2014年11月09日

Romeo / Lord Melody

カリプソリズム.jpg

「カリプソへの注目度は、このところ急上昇だ。」というのは1989年に出版されたオーディブック(CD付の本のシリーズ名です)第2弾『リアル・カリプソ入門』の冒頭で故・中村とうよう先生が書いていたお言葉。89年といえば僕ももうどっぷりとブラック・ミュージックの世界に浸かっていた頃ですが、カリプソが注目されているなんてことは聞いたこともなかったなぁ。もっともその頃はネットもないし、米国もの以外への僕のアンテナも随分低かったと思いますが。しかしながら我がバンド(ジャンプ/ジャイブが一応専門です)、遅まきながら2010年代になってからカリプソが注目度急上昇中。いや「急」でもないか、「じわじわ」くらい。徐々にレパートリーを増やしつつあるのです。

僕がはじめて「カリプソ」という音楽を意識したのは恐らくは高校生の頃。「モダン・ジャズの金字塔的作品でこれを聴かなきゃ始まらない」とかなんとか言われて購入したソニー・ロリンズさんのサキコロ(『SAXOPHONE COLOSSUS』)の解説文に、冒頭の印象的なラテン・ナンバー「St. Thomas」のリズムがカリプソだと書いてあったのが目にとまり、以来しばらくカリプソ=セント・トーマスという認識が刷り込まれてしまいました。その偏った認識を払拭したきっかけは吾妻光良さん「嫁の里帰り」「カミさん不細工な方がいい」などのバッパーズの名曲に加え、ロッキン・カリプソニアンズなる別ユニットでの「福田さんはカッコいい」など、カリプソ本来の諷刺精神も見事に日本語で再現したナンバーに、カリプソという音楽を頭の中で再定義。さらに本場もんのカリプソの面白さに気づかせてくれたのは日本随一のカリプソ・バンド、カセットコンロスのワダマコトさんチョイスによる『WADAMAMBO'S CALYPSOS』という編集アルバム。王道路線ではないものの、ちょっとひねった名曲多数でした。これにハマって以来、CD屋でカリプソ・コーナー(なんてものはほとんど存在せず、「ラテン・その他」とかのコーナーね)を覗くようになり、リリース数がそもそも少ないものの、目についたCDをちょこちょこと買うようになりました。ここ最近はうちのバンドのギタリスト氏がお熱で、いろいろ音源を回してもらってます。

カリプソはベネズエラ沖のカリブ海に浮かぶ島、トリニダート島で生まれた音楽。全然知りませんでしたが、そのルーツであるカイソまで遡れば19世紀発祥というジャズにも負けない歴史を持った音楽だそうです。明るいリズムにのせて歌われるのは、政治問題から町内会のゴシップまで、諷刺の効いた瓦版的内容だそうで、やたら歌詞が長いのも特徴です。みなさん大抵芸名を持っていて、ザ・ライオンだのザ・タイガーだのキング・レイディオにマイティ・デストロイヤーなんてのも…。まるでプロレスラーみたいに強そうなのは、即興の歌詞で相手とやりあう伝統的なショーにおいて名前負けしないためだとか。アーティストとしてはどうなのかと思いますが…。

「みんな大好き!ロミオ!」は最近のうちのバンドの合言葉。ロード・メロディさん(本名:フィッツロイ・アレクサンダー)の恐らく1950年代後半の録音の曲が、最近バンドのレパートリーに加わりました。跳ねるリズムに美しいメロディ、カリプソにしては珍しい恋愛ものです(多分)。何といっても脱力系のコーラスがたまらない、中毒性の高い曲。クック・レーベルに残された録音を掘り起し、2003年に日本で組まれたコンピ『カリプソ・リズム』に収められていたものを、うちのバンドのギタリスト氏がさらに掘り起こしてきました。ビールのおつまみに、ドライブのお供に、お子様のおやつに是非(ライナー・ノーツより)。そしてこの曲を含むカリプソ・ナンバーを3曲も豪華に投入したうちのバンドの次回ライブは、今週土曜日です。


 
posted by ac at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | latin | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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