2013年09月02日

I Can't See Myself / Clarence Carter

this is Clarence Carter.jpg

久しぶりの猛暑日となった先週の土曜日、去りゆくバカ夏とのお別れにと「俺のベンチ」で缶ビールを3本ほど飲んできました。「俺のベンチ」とは、この駄ブログを昔から読んでいただいている奇特な方々にはとうにおなじみですが、我が家から自転車で5分ほど、はらっぱ祭りがおこなわれる武蔵野公園くじら山の近く、野川のほとりにある何の変哲もない公衆のためのベンチです。近くにコンビニも売店もないので、クーラーバッグに保冷剤と缶ビールを詰め込んで、iPodにはブラック・ミュージック詰め込んで、燦燦輝く太陽を全身に浴びながら、文庫本で1〜2時間、というのが僕の至福の時間。交通費ゼロのまったく安上がりなバカンスです。ビールがヱビスでもいいっしょ。

最初に「俺のベンチ」をここに書いたのは…、と遡ってみれば2007年4月のことでした。その時の曲がクラレンス・カーターさんの「The Feeling Is Right」。…と、長々とわざとらしい前フリを書きましたが、そのクラレンス・カーターさんがなんと日本にやって来るというのです。カァ!カァ!カァ! 11月12日と14日の2日間、場所は毎度のごとくのビルボードライブ東京。1986年以来27年ぶり(!)2度目の来日です。当然ながらというか残念ながらというか、初来日公演は見逃していますので、初めての生クラカー。お歳の方は77とすでに後期高齢者、最後のスタジオ録音はおそらく10年以上前(買ってません、ごめんなさい)という状況はよくわかってはいるのですが…、それでも「期待するな」という方が無理なことなのです。

パッとしない(失礼!)セーターに黒メガネ(盲目です)でギターを抱える姿は、もろにカントリー・ブルース・マンのように見えますが、喉から出てくるのは紛れもないディープ・ソウル。これもここには何度も書いているマッスル・ショールズはフェイム・スタジオで、そこのミュージシャンたちと一体となって創り上げた、彼にしか残せない個性的な名曲の数々があります。バラディアーのような野太いバリトン、トレード・マークともなる下卑た笑い声、ときにかなりきわどい歌詞…、ながらも切ないバラッド・ナンバーを歌わせれば心から泣かされます。そして本当に個性的なのは「クラカー節」とでも呼びたいような、独特のミディアム・ナンバー群。「Slip Away」を皮切りに「Too Weak To Fight」に「Let Me Comfort You」に前述の「The Feeling Is Right」。枚挙にいとまがありません。ディープ/サザン・ソウルの枠組みを外れることこそないものの、他の誰とも違う独特の歌世界。

「I Can't See Myself」は切ない彼のバラッド・サイド。ソロとして4枚目の1967年のシングル(彼はソロになる前に、カルヴィン・スコットさんとともにクラレンス&カルヴィン、またはザ・C&C・ボーイズ名義でシングルを残しています)のB面です。後のデビュー・アルバム『THIS IS CLARENCE CARTER』(トップに貼ったジャケット、今なら1000円で買えますよ〜)にも収められました。どんなに下品な唄を歌っても、どんなにファンキーな曲を歌っても、彼の声からどうしようもなく滲み出てしまう哀しみがストレートに表れた隠れた名曲。自作曲です。最後の「ain't gonna cry」の連呼は既に泣いています。切なさいっぱいのホーン・セクションもたまりません。



「俺のベンチ」にはかれこれ10数年通い続けています。何も変わらずにそこにある、ということがどんなにありがたいことか…、と感じられる歳に僕もなりました。クラレンス・カーターさんにも変わらぬあの歌声を聴かせてほしいのです。

posted by ac at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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