2014年09月30日

Midnight Train To Georgia / Gladys Knight & The Pips

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子供の頃、クラスに何人かはいわゆる鉄道ファンという人がいて、彼らがしゃべるクハだのモハだの何千系だのNゲージだのといったワケのわからない会話をバカにしておりました。興味がない、というよりもむしろ積極的に嫌いだったのです。しかし内田百關謳カの「阿房列車」シリーズを何度も熟読したせいでしょうか、駅のラックにささっている「吾妻線に乗ろう!」などといったチラシをふと手にしている自分に気づくこの頃。心の奥深くに眠っていたなにかが発現しつつあるようです。

そもそもは「飲酒運転をしてしまう自信があるから…」と、こんなに厳しくなる前に自動車を手放したため(このあたり見事な自己管理だと思うワケです)、旅行といえばもっぱら電車。電車に乗って日本各地をふらふらと移動しているうちに、乗ること自体に喜びを覚えるようになった。のかなぁ。もっとも、素面で乗るんじゃ意味はなくて、缶ビールもしくはワンカップが必需品。のべつまくなし呑んでるわけではないけれど、頭ん中に多少アルコールの靄がかかっていないと、車窓の魅力も台無しです。何もせず、ただ時々杯を傾けながらひたすら車窓を眺めている。独り居酒屋のカウンターにいるのとあまり変わりません。動く居酒屋。乗り鉄というより呑み鉄なのです。

さて、鉄道つながりでこんな曲。何度も何度も登場している僕の最も好きな女性シンガーのひとり、グラディス・ナイトさんの1973年の大ヒット「Midnight Train To Georgia(夜汽車よジョージアへ)」を。いつもここでは重箱の隅的な曲ばかり取り上げていますが、これは胸を張っておすすめできる誰もが認める名曲です。スターを夢見てやってきたL.A.から、夢破れて故郷のジョージアに帰る男と、それについて行くことを決めた女の歌。ロスからジョージアまでは3000キロ超。あたしのようなお気楽阿房列車ではありません。

モータウンを離れて、大型契約を結んだブッダでの2枚目のシングル。1枚目がさほどのヒットではなかったためか、モータウン時代のヒット「Neither One Of Us (Wants To Be The First To Say Goodbye)(さよならは悲しい言葉)」を書いたジム・ウェザリーさんの作った曲を持ってきました。前年に元スウィート・インスピレーションズのシシー・ヒューストンさん(ホィットニーのお母ちゃんね)が録音していましたが、そちらは全くヒットしなかったようです。そいつはこちら。これもまたいいんだけどね。しかしやはりその出来栄えを軽くしのぐグラディス。説得力のある歌いっぷりは流石としか言いようがありません。


旅をするにはいい季節、またどこかへ阿房列車を出そうかと画策中。呑み鉄友の会会員募集中です。

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2014年09月24日

黒猫のファンク / クレイジーケン

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クレイジーケンバンドを初めてまともに聴いたのは、既に「タイガー&ドラゴン」などがヒットした後のこと。うちのバンドのギタリスト氏(横浜出身)にベスト盤『OLDIES BUT GOODIES』を貸してもらったのが最初なので、ちょうど10年くらい前の事でした。僕は中央線沿線(といっても結構先の方)に当時も今も住んでいますが、同じくブルース文化のある横浜方面の音楽は、ロックンロール色が強い気がするからか、あるいは単なるライバル視からか、何となく敬遠していた気がします。アンテナが低いとともに狭い了見でした。

しかし「東洋一のサウンドマシーン」と自称するだけのことはあるその鉄壁のバンド・サウンドと、昭和の香りのするソング・ライティングには一発ではまってしまい(なんせ「ザ・ベストテン」で育った世代ですから…)、その借りものの『OLDIES BUT GOODIES』は当時の僕のココロのベストテン第1位を続けること数週間。以降素知らぬ顔してファンとなり、出るアルバムは全て聴いていて、いつの間にはiTunes内の曲数はバッパーズRCも抜いて、国内アーティスト最多になっています(しかしハマのギタリスト氏が全部貸してくれちゃうので、お金はほとんど使っていません、ホント申し訳ない…)。曲作りには多少やっつけ仕事っぽいものもありますが、ロックンロールから昭和歌謡からソウルからファンクからブルースからポップスからラテン(ブーガルーものをこんなにかっこよく演れるバンドは他にいません)からアジア系まで、何をやってもCKB色に染めてしまうバンドの技量は本当に見事だと思います。

数ある名曲の中でも、とびきりの個人的愛聴曲が、バンド結成前の横山剣さんソロ名義の「黒猫のファンク」。麦田のトンネルはどこにあるのかよく知らないけど、哀愁感漂うメロディの分厚いユニゾンコーラス、サビから戻ったヒラ歌のスペイシーな浮遊感、好きな人は思わずニヤニヤしちゃうもろP印のファンク・ナンバーです。ニャンニャン。僕が剣さんを知るはるか前、1995年に初出の『CRAZY KEN'S WORLD(狂剣的世界)』に収められておりました。このアルバムにはもう一曲、原田和典さんがジャック・マクダフの「Esperanto」にその下世話なメロディーをなぞらえた「中華街大作戦」という超名曲も。名盤です。


イーネッ!
 

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2014年09月09日

Moonglow / Art Tatum Trio

art tatum trio.jpg

昨日の十五夜、東京は恨めしくも雨交じりの曇り空でした。でも本当の満月は本日、大きな月が上がっています。月に一献傾けようかとこんな曲。

It must have been Moonglow, way up in the blue
It must have been Moonglow that led me straight to you
「青空に浮かぶ月の輝きが、僕を君に導いてくれた…」と何ともロマンティックな歌詞の「Moonglow」。1933年にウィル・ハドソンさんが作り、アーヴィン・ミルズさんとエディ・デランジェさんが美しい歌詞をつけました。1934年にベニー・グッドマン楽団がヒットさせ、スタンダードに。古くさいっちゃあ古くさい曲だけど、昔の人はいい曲書くなぁ…とも思います。

歌入りでもインストでも、様々な人が様々な名演を残しているこの曲、多くはしっとりとムーディに演奏されますが、今夜はコロコロと転がるようなジャイヴィなテイクで。ピアノを弾くのは「巨匠」アート・テイタムさん。続いて出てくる何とも楽しくなっちゃうギターはタイニー・グライムスさん。そしてベースのアルコ弾きはスリム・ゲイラードさんとのコンビでもおなじみ、スラム・ステュアートさん。ずいぶん前にもここに書いたことのある、超絶技巧と歌ゴコロに遊びゴコロを兼ね備えた(個人的には)史上最強ピアノ・トリオです。額に汗して思いっきり音符を叩き込む巨匠に対して、「まぁまぁ肩の力を抜いて…」と言わんばかりのフレーズで応えるお茶目な2人。巨匠がどう思っていたかは知る由もありませんが、硬と軟、何とも絶妙なメンツだと思います。録音少ないのは何とも残念がいずれも名演です。以前に『THE COMPLETE TRIO SESSIONS』なるCDが2枚出ていたみたいなんだけど、今では手に入りません。未発表含む全曲集とか再発してくんないかな…、と月にお願い。



posted by ac at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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