2014年05月28日

He Never Will / Gladys Knight

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何度もここに登場しているグラディス・ナイトさん。1944年5月28日生まれだそうですので、なんと本日70歳になりました。おめでとうございます。人生七十古来稀なり、そして今でも歌っています。本当におめでたいことだと思います。新譜も一応出したことだし、お元気なうちに是非とも来日していただきたいものです。

そんなワケで今日は朝からグラディス祭り。ひたすら聴いていましたが、持ってるCD数えてみたらば30枚弱もあるん(バカだねぇ…)、なかなか聴き終りません。でもって珍しいことにLPは1枚も持っていませんでした。アナログ・レコードを積極的に買ってたのは20代半ばまでだったと思うので、その頃まではほとんど興味がなかったっていうことか…。確かにこの人の歌の深い味わい、ケツの青いガキにはわからないかもしれません。

何度か書いていますが、グラディスの魅力はもちろんその歌唱力。でも女王アレサ・フランクリンさんみたいに圧倒的な力量でねじ伏せるような余裕ある感じではなく、むしろ目いっぱい、持てる感情の全てをつぎ込んで歌ってます!みたいなギリギリの感じがたまらないのです。エラやサラではなくてビリー・ホリディさんのココロ。「天才は溢れ出る。凡才は絞り出す。ゆえに天才なんてちっとも偉くない」というのは僕の持論ですが、まさにないところから絞り出して、自分をすり減らすような歌いっぷり。それこそが歌に血肉を与え、魂(ソウル)を吹き込むワケです。

ゴスペル・ソングで厳かに誕生日をお祝いしようと、引っ張り出したのはこんな曲。「He Never Will」。1998年、自らの芸能生活50周年を記念して神に捧げたアルバム『MANY DIFFERENT ROADS』に収められていた曲です。アルバム自体が地味な企画ものでヒットもしませんでしたから知ってる人も少ないと思いますが、僕は発売当時から大好きだった曲です。聴けば聴くほど胸に突き刺さる説得力。グラディスは自ら書いたアルバムのライナーでこの曲についてこう語っています。「この曲が伝える意図と、言わんとしているメッセージが、私は大好きなのです。私たち人間は、互いに失望を与え合う生き物です。また、互いに足を引っ張り合うこともあるでしょう。私たちは人間ですから、当然、短所もあれば、欠点もあるのです。この曲が言わんとしているのは、私たちが時々、他人の心の痛みに気づかずにいて、互いに傷つけあうこともある、ということです。しかしながら、神さまは決してその過ちを犯さないのです。」

(…と、ここにYouTubeで音源をアップしたのですが、残念ながらUMGさんにブロックされてしまいました。いい曲です。損はしないので、是非アルバム買って聴いてみてください…)

いや本当におめでとうございます。グラディス、愛しています。いつまでもお元気で!

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2014年05月23日

O Que Aconteceu Menina / Dominguinhos

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ご覧のとおり、いつもだいたい味が濃くて脂っこそうな音楽ばかりをご紹介していますが、たまには爽やかなこんな音楽を。煮込みや焼きとんの合間に食べる、おひたしや酢の物がまた旨いのです。キンミヤの梅割りでも呑みながら…ね。


ドミンギーニョスさん。怪獣みたいな名前ですが(失礼!)とても美しい音色を奏でるサンフォーナ(アコーディオン)奏者です。ブラジルのアコーディオン奏者といえば、なんといっても「バイアォンの王様」ルイス・ゴンザーガさんが有名ですが、その一番弟子にして継承者。ブラジル北東部のペルナンブーコ州に生まれ、ご当地の音楽「フォホー」を演奏しながらも、ジルベルト・ジルさんシコ・ブアルキさんらMPB人脈とも交流を持ち、演奏者、作曲家、歌手として、ジャンルに囚われない幅広い活動をしていた人です。残念ながら昨年7月に72歳でお亡くなりになりました。

「O Que Aconteceu Menina」。「少女に何が起きたのか」(でいいの…?)しみじみといい曲です。御本人の朴訥な歌声に、繰り返す可憐な女声コーラスがまたいいのね。僕のiPodにはドミンギーニョスさんの曲が30曲ほど入っていますが、この曲含め4曲がトップレート入り(★★★★以上)。なんだ4曲か…と思うかもしれませんが、収録曲の1割以上がトップレートというのは僕の場合かなり高水準。他にもかなりの数の作品を残しているはずなので、もっといろいろ聴いてみたい…とたまに覗くブラジル音楽売場では以前から探してみているのですが、なかなか出会えません。アルバムいっぱいあるはずなんですけどね、この日本ではあんまり人気がないみたい。

上掲のジャケットは『MUSIC FOR SUNDAY LOVERS "PHILIPS YEARS"』という10年ほど前に出された国内編集のベスト盤。70年代にPHILIPSに残した4枚のアルバムからピックアップされたものです。他に『"RCA YEARS"』というのも。この『MUSIC FOR SUNDAY LOVERS』というシリーズ、他にもミルトン・ナシメントさんやナラ・レオンさん、ジョイスさんなども出されているみたいだけど、なんか「フリー・ソウル」みたいなシャレオツ系であまり好きではありません。でもこれしかないんじゃしょうがないやね。

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2014年05月18日

She's Better Than You / James Carr

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昨夜は四谷三丁目にて、我々のバンドの約半年ぶりのライブ。公演中止にともなうポール難民(!)はじめ、たくさんの皆さんにお越しいただき、心より御礼を申し上げます。次回も是非、よろしくお願いします。

さて、見覚えのある人には説明不要な上掲ジャケット。この駄ブログ「一曲一献」は、ソウル・ミュージック、しかもディープ系を中心に足かけ8年、400曲以上を紹介していますが、この不世出のディープ・ソウル・シンガーが登場するのはなんと初めて(!)。この人については軽々しく書けない、それだけ重たいものが僕の中にありました。よく「人生を変えた一曲」とか「一枚」などと言いますが、実際に振り返ってみるとそんな劇的なものではなくて、いろいろなものの積み重ねが今の僕を作っているのだろうと思いますが、学生の頃に初めて聴いたこの1枚のLPレコードは、その「積み重ね」の中の大きな1歩であったことは確かです。

アルバム・タイトルは『YOU GOT MY MIND MESSED UP』。メンフィスの弱小レーベル、GOLDWAXから1966年に出されたジェイムス・カーさんのデビュー・アルバムです。今では英KENTから大量の未発表曲を加えたCDが同タイトル同ジャケットで出されていますが、オリジナルLPの極限まで濃縮された味わいが薄まっちゃったような感じがしてちょっと残念。ま、それだけオリジナル盤が素晴らしかったということですね。曲ごとの好き嫌いがかなりある僕ですが、このアルバムはAB面計12曲、1曲も捨て曲なし。こんなソウル・アルバムは他にはありません。

オーティス・レディングさんやらソロモン・バークさんからディープ・ソウルの世界に入り、アルバムを聴くようになった学生時代。アトランティックのそうした方々のアルバムにはもちろん素晴らしい曲もありますが、「なにこれ、ポップスじゃん」てな曲も必ず入っていました。しかしこの『YOU GOT MY MIND MESSED UP』では「The Dark End Of The Street」に多少ポピュラー的な雰囲気があるものの(それでも十分ディープだけど…)、あとはテッテ的にディープ・ソウル一辺倒。「売れないわけだよねぇ」とも思いましたが、僕にとっては最高のアルバム、出会ってから1ヶ月くらいはこればかり聴いていた気がします。当時のソウル仲間と静岡まで旅行に出かけた時に、往復の車の中でこのアルバムのカセットをひたすらリピートでかけていたのは懐かしい思い出です(遠い目)。

一応「一曲一献」なので、名曲揃いのこのアルバムから選んだのがB面5曲目の「She's Better Than You」。アルバムに先駆けて1965年に出されていたシングル曲です。名曲として名高い「Love Attack」なんかと比べるとかなり地味な印象のこの曲ですが、これが20数年も聴き続けていると一番素晴らしく思えてきます(笑)。ディープな歌声はもちろん文句なしですが、バック・サウンドがまた素晴らしい。フェイムのような完璧さはありませんが、粗削りで迫力のある音。初期ゴールドワックス特有の「音圧のあるバラッド」です。この曲、作曲者であるオーボーことO.B.マクリントンさん自ら歌うバージョンもありますが、それを聴くとそのカントリー風のナンバーを、ジェイムス・カーさんとバック・ミュージシャンたちが見事に重量級ディープ・ソウルに昇華させているのがよくわかります。


20数年も同じ曲聴いては感動しています。進歩がないのか、あるいはそれだけ素晴らしい作品なのか。ま、両方だな。

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2014年05月06日

World Under Siege / Defunkt Big Band

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デファンクトというバンド。一般的にはほとんど知られていないと思いますが、学生の頃やってたファンク・バンドで一曲「Illusion」というえらくカッコいい曲をカバーしていたことがあり(遥か昔の話だ…)、僕にとっては何となく思い入れのあるバンドです。その後も何かと気にしていましたが、専門誌にも話題が出ることはほとんどなく…、でもリーダーのジョー(ジョセフ)・ボウイさんは、ホームページ見ると今でも活動を続けているようです。

ジョー・ボウイさんのお兄さんはレスター・ボウイさん。フリー・ジャズ界のトップ・グループ、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(AEC)の中心人物です。ちなみに僕は高校生のころにAECのアルバムを1枚だけ買ったことがありますが、全く理解できませんでした(笑)。あのLPどこに行っちゃったかなぁ、今聴いたら印象違うんだろうけど…。
で、ジョー・ボウイさん。8歳年上の兄に師事したかどうかは知りませんが、若いうちからトロンボーンを手にフリー・ジャズの世界に入ったそうです。しかし何を思ったか1979年に、ファンクとフリー・ジャズとパンク・ロックをごった煮にしたような前衛ポップ・バンド、デファンクトを結成します。こちらは学生だった僕のアタマにも理解できる適度なとんがり具合(笑)。1980年代から90年代にかけて、ジョーの麻薬中毒治療のための一時活動停止はありましたが、何枚かのカッコいいアルバムを出しました。でも残念ながらあまり売れなかったようです。

その後は情報がほとんど入ってこないので、どうしているのか知る由もなく、ほとんど忘れかけていました。でも先日ふと中古屋で見つけた上掲ジャケットの2枚組CD『THE LEGEND CONTINUES』を即購入してみたら、1枚目は78年〜01年のベスト、2枚目は「デファンクト・ビッグ・バンド」のライブ録音。って、いつの間にやら20人ほどの編成のビッグ・バンドを結成していたようです。これがまたなかなかカッコよく、再開に涙。大編成で疾走する強力なビッグ・バンド・ファンク「World Under Siege」をどうぞ!


ジョー・ボウイさんは男っぽいシャウトのなかなか素晴らしいボーカリストでもありますが、この曲を歌うのはケリー・シー(Kelli Sea)なる女性シンガー。これがまたパワフルかつキレのいい歌いっぷりを聴かせてくれます。この曲のほかにも他にもブルーズ・ナンバーあり長尺ファンクありの名演揃い。ナマで聴いたらかなりグッと来そうですが、まぁ来日は無理だろう…なぁ。

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2014年05月02日

The Next Thing You Know (We'll Be) / Trey Lewd

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風薫る5月。GW後半に向けて天気も好転ムードですが、我が愛する中日ドラゴンズは貯金シリーズのはずの下位チーム相手に痛い4連敗。本日移動日こそ心休まる安息日ですが、早くも中継ぎ陣崩壊現象で、明日からの上位3チームとの地獄の9連戦に投げてもらうべき投手が見当たりません。吉見一起投手と浅尾拓也投手の1日も早い復帰を望むのみです。

そんな連戦とGWの谷間、悶々としたアタマで聴いているのはトレイ・リュードさんの「The Next Thing You Know (We'll Be)」。哀愁というか陰鬱というか…の変態フレーズがループする非常に中毒性の高いナンバー、耳についたら離れません。トレイ・リュードことトレイシー・ルイスさんはかのPファンク総帥、ジョージ・クリントンさんの何番目だかの息子。変態の子は変態です。


1990年のアルバム『DROP THE LINE』に収められていたこの曲。Biti Strauchn(読みがわかりません)なる女性シンガーとのデュエットで、親父譲りのへなちょこ唱法を存分に聴かせてくれます。しかしキメはやっぱりイントロから繰り返し使われるぐにょぐにょ変態フレーズのリフ。曲自体はトレイシー・ルイスさん自身が書いたものですが、このフレーズは親父さんがライブなどでも繰り返し使っているもので、初出はブーツィーズ・ラバー・バンドの1979年『THIS BOOT IS MADE FOR FUNK-N』の一曲目「Under The Influence Of A Groove」のようです(後半4分50秒あたりにちょっとだけ使われています)。クリントンの『HEY MAN… SMELL MY FINGER』(1993年)に収められた「Kickback」でもフィーチャーされていますので、御大よほどのお気に入りでしょう。僕自身、来日ライブで何度か耳にして胸が躍った覚えがあります。Pファンク研究の世界的権威(!)河地依子さんによれば、このフレーズ、作ったのはトロンボーン吹きにしてホーン・アレンジの名手、フレッド・ウェズリーさんだそうです。「Pファンクの良心」のようなフレッドですが、クリントンばりの変態フレーズもお手の物のようで。

親父さんおよびPファンク軍団の強力なバックアップでこのアルバムでデビューしたトレイ・リュードさんですが、その後はどうしているのやら…。僕にとっては今のところこの一曲だけの人です。
 
posted by ac at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | funk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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