2014年04月22日

Make Me The Woman That You Go Home To / Gladys Knight & The Pips

Standing Ovation.jpg

ずっと昔、高校生くらいの頃に音楽聴くときは「制作したプロデューサーの意図があるので、アルバムはちゃんと1曲目から曲順どおりに聴かなきゃダメだ」などと思い込んでいて、人に偉そうに語ってたような気もします。ま、LP時代だったので曲飛ばすのも面倒くさかったしね。しかし今や(…ってずっと前からですが)デジタル時代。買ってきたCDはとっととiTunesに放り込んで、ざっと聴いてレート(★)をつけたら、トップレートに入った曲以外はほとんど聴かない、という堕落したリスナーになってしまいました。そもそも「好きな曲」の自分の中のハードルが結構高くて、買ったCDにトップレート入りが一曲でもあればアタリ、という感じ。同じアーティストでも曲による好き嫌いが激しいのです。このブログでもそんなわけで、アルバムではなく「曲」を単位に紹介しています。

何度もここでご紹介しているグラディス・ナイトさん。14歳で歌い始め、69歳の現在も現役。素晴らしい録音をいくつも残していますが、やはり最も輝いていたのはモータウン在籍時。特に後期の1970年代初頭の3枚『IF I WERE YOUR WOMAN』(1971)、『STANDING OVATION』(1972)、『NEITHER ONE OF US』(1973)はもう珠玉の傑作群!と言ってしまいます。声・曲・アレンジともいうことなしの名作群。ま、グラディスの場合はいつでも歌声は文句なしですから、この頃のプロデューサーのクレイ・マクマレイさんやジョニー・ブリストルさんの力が大きいのでしょう。この後、グラディスはモータウンを離れブッダに移籍し、グラミーものの「夜汽車よジョージアへ」などヒット量産態勢に入りますが、ポップさは増したものの、コクや迫力といったものは薄まってしまったように思います。

さて、そのモータウン後期から一曲!と思ったものの、曲の好き嫌いが激しいはずの僕にも甲乙つけがたい名曲ばかり(ずいぶん以前に一曲「It's Gotta Be That Way」だけは紹介しています)。えいや!と選んだのは『STANDING OVATION』の冒頭を飾る名曲「Make Me The Woman That You Go Home To」。邦題はなんだかわからないけど「愛を教えて」だそうです。クレイ・マクマレイさんのペンによる劇的な展開のメロディと、めずらしく分厚い(失礼!)ピップスのコーラス、そして何といっても、ソウルフルとしか言いようのないグラディスの後半の絶唱に涙!なのです。


この曲のアルバムを含む、先に紹介した珠玉の3枚。なんと今ならすべて1枚1,028円(税込)で買えます。持っていない方はこの際に速やかに購入することを強くお勧めします。

posted by ac at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月05日

Le Coiffeur / Dexter Gordon

gettin' around.jpg

ジャズです。大好きな自転車ジャケットのデクスター・ゴードンさんで。

デクスター・ゴードンさんを好きになったのは映画『'ROUND MIDNIGHT』を観てのこと。いつの映画だっけ?と思って調べてみたら1986年、僕がまだハタチ前の事でした。酒とドラッグに溺れた末にたどり着いた異国パリの地で、自身の熱心なファンに巡り合い、心の交流が生まれる中で自らを少しずつ取り戻す、あるジャズ・ミュージシャンのお話。主人公の大物サックス奏者デイル・ターナー(フィクションです)を演じたのがデクスター・ゴードンさんでした。「レディ・フランシース…」とつぶやくように彼の信望者に語りかける、おそらくは本当に酒とドラッグで潰したのであろうデクスターのダミ声が、いまでも耳の奥に残っています。

デクスター・ゴードンさんは、1940年代にビ・バップの洗礼を受けた初期の世代のバップ・テナー。現実でも大物サックス奏者です。ビリー・エクスタイン楽団でジーン・アモンズさんとテナー・バトル・チームを組んでいたこともありました。男らしい大らかなトーンと、16分音符を安易に使わない、ちょっと聴くと「もたってる」と思われそうなどっしりとした後ノリのアドリブが魅力的なテナー吹きです。

実際にドラッグやアルコールに溺れ、ニューヨークを離れ、コペンハーゲン他の欧州の地で60年代の多くを過ごしたデクスター・ゴードンさん。デイル・ターナーのモデルは一応バド・パウエルさんとされていますが、デクスター自身も多分に入っていることと思います。そのヨーロッパ在住時代にデクスターはブルー・ノートから何枚かアルバムを出していますが、上掲ジャケットの『GETTIN` AROUND』は、ヴィブラフォン奏者で、映画『'ROUND MIDNIGHT』にも実名で出演していたボビー・ハッチャーソンさんの参加によりとてもカラフルなアルバムになりました。アルバムのB面最後に収められた「Le Coiffeur」は彼のフランス暮らしが作曲に影響を与えた(?)愛らしい一曲。フランス語で「美容師」という意味だそうですが、とってもおしゃれでお茶目な曲。バリバリとアドリブと闘う『OUR MAN IN PARIS』みたいなアルバムでは決して聴くことのできない、男らしいデックスが垣間見せたウィンクのような、愛おしい曲です。


posted by ac at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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