2014年02月24日

Either You Love Me Or You Leave Me / Bettye Swann

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ベティ・スワンさんのアトランティック時代の未発表を含む全シングル集が出されています。ライノさんのグッジョブ。ベティ・スワンさんは60年代中盤から70年代にかけて、大ヒットこそないものの魅力的な歌声を多数残したレディ・ソウル。一応サザン/ディープ系ですが汗の匂いのしない「エレガント・ソウル」です。デビューしたマネーと、それに次ぐキャピトル(いずれもレコード・レーベル)の時代は既にCD化されていましたが、残る70年代のアトランティック時代がようやく本格的にリイシューされ、彼女の主だった作品はすべてCDで聴けるようになりました。めでたいことです。

ことさらに泣き叫ぶよりも、あえて静かにじっくりと歌いこんだ方が、情念みたいなものはしっかりと伝わるものかもしれません。この「Either You Love Me Or You Leave Me」での歌唱はその好例でしょうか。聴けば聴くほど胸を揺さぶられる一曲です。ベティさんの作品の中でも屈指の「名曲」だと思いますが、驚いちゃうことに当時は未発表。アトランティックの倉庫の片隅にテープとなって眠っていたのです。40年ほどの歳月を経て、ライノさんによりありがたくも救出されましたが、輝きは全く失われていません。


ベティ・スワンさんは1944年ルイジアナ州シュリヴポートの生まれだから今年で70歳。アトランティックとの契約が切れた後は長らく引退状態だったようですが、YouTubeを探すと、すっかりかわいいおばあちゃんになった昨年のライブ映像が何本か上がっています(一緒に歌う外野がうるさすぎるよね…)。この日本でどれだけ客を集められるかわからないけど、呼んでほしいなぁ、と思います。

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2014年02月22日

Cry Baby / Garnet Mimms and the Enchanters

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たまに「ニューヨーク・ディープ」が聴きたくなります。ニューヨーク・ディープというのは読んで字のごとくニューヨークで作られたディープ・ソウル。その後メンフィスだのマッスル・ショールズだの南部の各地でディープ・ソウルが花開く前、1960年代前半がニューヨーク・ディープの全盛期でした。というかその後の南部に喰われちゃったわけですね。でもソロモン・バークさんがキング・オブ・ロックン・ソウルだった時代、ディープ・ソウルのメッカは南部ではなくニューヨークだったりしたのです。

立役者、というか仕掛け人はブロンクス生まれのロシア系ユダヤ人、バート・バーンズさん(作曲家としての名前はバート・ラッセルさん)と、フィラデルフィア生まれのハンガリー系ユダヤ人、ジェリー・ラガヴォイさんの2人の白人プロデューサー。この2人のユダヤ人がまた見事に黒い音を作るのです。ゴージャスなオーケストラを使ったアレンジながら、教会を思わせる分厚いコーラスと、重たいリズムで臭い立つようなR&Bの数々を生み出しました。歌うはソロモン大王を筆頭に、ガーネット・ミムズさん、ベティ・ハリスさん、ホーギー・ランズさん、ベン・E・キングさん、ハワード・テイトさん、といった方々。一つの黄金時代がありました。

そのバート・バーンズさんとジェリー・ラガヴォイさんが手を組んで、ディープ・ソウルの扉をぶち開けたナンバーが、1963年の「Cry Baby」。ゴスペル丸出しのバック・コーラスとずしりと重たいリズムに乗って、ガーネット・ミムズさんが熱く歌った、むせ返るようなディープ・ソウルです。その後ジャニス・ジョプリンさんがカバーしたことで有名で、ジャニスのバージョンしか知らない、という不届きな方々も多いと思います。しかしガーネット・ミムズさんのオリジナルも全米4位、R&Bチャートでは3週間続けて1位という、ソウルの歴史に刻み込まれた燦然と輝くナンバー。無濾過生原酒のような生まれたての荒々しさがあります。


ふとYouTubeの再生回数見てみたら、ガーネット・ミムズの6300回に対して、ジャニスは530万回。うーん、オリジナルの偉大さを見直すべき!と思います。

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2014年02月16日

Day In The Life Of A Fool / King Floyd

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たかだか1日くらいの雪かきで「くたびれたぁ」なんて言ってたら、山梨の方々には申し訳が立ちませんが、昨日の雪は重たい雪でした。精神的疲労に比べたら肉体的疲労なんて屁みたいなもん、と昔は喜んで買って出たものですが、寄る年波を実感するこのごろ。しかしビールは格別でした。

キング・フロイドさんを最近よく聴いています。「Groove Me」の大ヒットで有名な(?)ソウル・シンガーですが、それしか知らないというソウル・ファンも結構多いかと思います。恥ずかしながら僕もつい最近までそうでした。しかし例のアトランティックの1000円シリーズで「ま、1000円だから…」と、ついで買いしたその「Groove Me」を含む1971年のアルバム『KING FLOYD』を聴いてみたら、かの曲でのファンキーな味わいとはまた違う繊細な歌世界を発見、とりこになりました。特徴的なコクのあるハイ・テナーはファンキー・ナンバーにももちろん合いますが、バラッドやミディアム・ナンバーでの飾らない歌い方でも魅力を発揮します。いや、むしろそっちの方が好き。中毒性高いです。流して聴くとなんでもない地味な曲ですが、聴けば聴くほど味わい深くなる「Day In The Life Of A Fool」をどうぞ。


キング・フロイドさんは1945年ニューオーリンズ生まれ。64年にロサンゼルスでデビューするも鳴かず飛ばず。しかし70年にミシシッピ州ジャクソンの当時できたばかりのマラコ・スタジオで録った「Groove Me」がR&Bチャート1位、200万枚のヒットになりました。幸か不幸かその曲の印象が強すぎ、一発屋のイメージがありますが(僕も「あぁ『Groove Me』の人ね…」と何となく避けてた気がします)、上掲の曲をよく聴いていただければわかるとおり、実力のあるディープ・ソウル・シンガーです。もちろん当人はヒット曲が欲しいと思っているでしょうが、無責任な外野からすると、ヒットがあるのも善し悪しだったりします。てか、もっと耳を磨かなくちゃね、という話。
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2014年02月11日

Jamilah / Houston Person

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投票率を間違いなく十数ポイントは下げたであろう東京のドカ雪も、あっという間に消えつつあり、暦の上では立春も過ぎていました。まだまだ寒いけどね、今年はあと何度大黒屋の湯豆腐が食べられるかなぁ…などと去りゆく冬を思ってみたりするのです。

西荻の酒屋で手に入れた「初亀純米吟醸」のお供にと、久しぶりにレコード棚から引っ張り出してみたアナログLPは、テナー+オルガンのコテコテ・ソウル・ジャズ。ヒューストン・パーソンさんの1969年プレスティッジ盤『GOODNESS』でした。表題曲はコンガがチャカポコ鳴り渡るブルース・チューン、典型的なコテコテ・ナンバーですが、ちょっとイカしているのがB面2曲目の「Jamilah」。16ビートのメロウでクールなグルーヴのこの曲、きれいな音色のアルトでも乗っかっちゃうとまるでフュージョンになっちゃうところ、ブリブリと吹きまくるのは豪快かつ男くっさいパーソンのテナー。黒々としたぶっとい音には惚れ惚れします。ちょっとお調子に乗り過ぎ気味のベースマンをカッティングでぎろりと抑えるのは職人ギター、ビリー・バトラーさん。こちらも惚れ惚れしちまいます。7インチにもカットされている名演。

ヒューストン・パーソンさんは1966年の『UNDERGROUND SOUL』が初リーダー作。アモンズだ、ロックジョーだ、コブだ、ウィリス・ジャクソンだ、ジミー・フォレストだ、ラスティ・ブライアントだ、キング・カーティスだと、元ホンカーやバッパーの多いプレスティッジのコテコテ・テナー吹きオールスターズにあっては、遅れてきた青年、というか遅咲きの苦労人です。しかし60年代末から70年代のプレスティッジ粗製乱造(失礼!)ソウル・ジャズ・セッションに次から次へと顔をだし、すっかりこの時代の中心人物となりました。その後、ミューズの顔となり、お歴々がみんな死んじまった今となってはすっかり大御所、ソウル・ジャズの生き字引のような存在です。


セーター頭まで被って顔だけ出して「ジャミラ〜!」なんて遊んだことがあるあなたはきっと僕と同世代です。地球に見捨てられた宇宙飛行士の哀しいお話なんだよね(たしか)…。
posted by ac at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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