2013年04月30日

Promises Should Never Be Broken / Annette Snell

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何の因果か古い黒人音楽に惹かれて早30年。この駄ブログを読んでいただいている奇特な皆様にはご存じのとおり、一般的にはほとんど知られていないような音楽ばかりを聴き続けています。どうせ聴くならもっと友達がいっぱいできそうなものを聴けばいいのにね…、とも思うけど、心が反応してくれなければしょうがありません。選択権は僕にはないみたい。かといって、古くて誰も聴かないような音楽ならば何でもいいわけでは勿論なくて、リイシューCDをこつこつと買っては「ま、こんなもんだよな」と少々落胆したりする日々。たまに掘り出し物に巡り合うと天にも昇るような気持ちで、それが忘れられず足を洗えずにいます。まぁいいんだそれで。競馬の穴狙いみたいなもんだよね。馬券は当たれば配当金が帰ってきますが、CDに使ったお金は帰ってきません。だけど心の糧にはなるのです。

珍しく当たりがザクザクと得られた万馬券アルバムが上掲ジャケットの『THE LOST SOUL GEMS』。エピック音源のシングル盤から厳選した2枚組CDです。本来お家芸だったはずの重箱の隅リイシューも、すっかりKENTやSOULSCAPEの英国勢に看板を奪われていた2008年、我が国のソウル界の最重鎮、鈴木啓志センセイが満を持して監修した逆転満塁ホームランなアルバムでした(あとが続いてないけど…)。タイトルどおり、失われたソウルの宝石が29曲!発掘されています。

シングル・コレクターではなかったので全てこのCDで初めて聴いた曲ばかり。ここに取り上げたい曲はいくらでもありますが「一曲一献」なので中でも厳選の一曲、アネット・スネルさんの「Promises Should Never Be Broken」を宮城の純米吟醸生原酒とともに。マイアミ出身のアネット・スネルさんはDIALとEPICに数枚の素晴らしいシングル盤を残したのみの無名なレディ・ソウル。1977年のシングルB面に「Promises Should Never Be Broken」(A面はこれまた素晴らしい「It's All Over Now」)を残した直後に、残念ながら飛行機事故でお亡くなりになりました。素晴らしい才能を持っていただけに残念でなりません。このミディアム・バラッドは『楽ソウル』の佐野勝明氏をして「聴くものすべてに希望と至福を与えてくれる感動的なミディアム・ナンバー。ソウル・ミュージックにしかない輝きがここにはある。」と言わしめた傑作。全くそのとおりだと思います。



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2013年04月15日

That's How Much You Mean To Me / George Jackson

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大好きだったジョージ・ジャクソンさんが亡くなってしまった…。彼は僕の人生を確実に一回り彩深いものにしてくれた人です。今夜は彼の音楽をかけながら、涙とともに杯を献げようと思います。

全盛時はアルバムすら作れなかったのに、ここへ来て未発表曲やデモ録音が続々とCD化。突然の再評価を一番驚いていたのは御本人かもしれません。その再評価の波にのって現役復活→初来日公演実現! とのストーリーを僕は密かに思い描いておりました。癌で闘病中だったとは、露とも知らなかったのです。まだまだ歌えるはずの68歳。残念でなりません。

稀代の名ソングライター。そして稀代の名シンガーでもあったと思います。ミスター・サザン・ソウル。大好きな曲がいっぱいあります。何を言ってもしょうがないので、最も好きな1970年のFAMEのシングル「That's How Much You Mean To Me」を。その暖かい歌声に、涙が止まりません。


素晴らしい楽曲をありがとう。どうぞ安らかにお眠りください。

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2013年04月08日

Walk A Mile In My Shoes / Willie Hightower

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サザン/ディープ・ソウルと言われる音楽の聴きどころは、なんといっても3連のバラッド・ナンバーにおけるヴォーカルの泣きっぷりなのです。特に60年代後半、アラバマ州はマッスル・ショールズのフェイム・スタジオにおいて制作された3連バラッドの数々には、ある一つの音楽の完成形をみることができます。ピケットアレサもマッスル・ショールズ詣でを行い、数々の名バラッドを残しました。何も足す必要のない、何も引く必要のない完璧な楽曲がいくつもあります。

しかし、豪快なジャンプ・ナンバーもサザン/ディープ・ソウルの魅力の一つ。バラッド・ナンバーほど名曲率は高くありませんが、重たく突き進むリズムにディープなシャウトがぴたりとはまれば、最高のグルーヴが生まれます。同じくマッスル・ショールズ、フェイム・スタジオ産の最高のジャンプ・ナンバー、吟醸香漂うような「Walk A Mile In My Shoes」で今宵は一献。歌うは素晴らしく深く塩辛い声の持ち主、ウィリー・ハイタワーさんです。

極上の歌声の持ち主ながら、残念ながらヒット曲には恵まれなかったウィリー・ハイタワーさん。1960年代にニューヨークからウェスト・コースト、様々なレーベルを渡り歩きながらポツリポツリとシングルを残しています。そして生地でもあるアラバマ州、フェイム・スタジオにたどり着いたのは70年のことでした。彼はここで3枚のシングルを残します。いずれも名曲名演。バラッド・ナンバーももちろん文句なしですが、ぶっ飛んだのは上掲CD(当時のシングル曲を集めて2004年に組まれたもの)の冒頭に収められている「Walk A Mile In My Shoes」。もともとはジョー・サウスがヒットさせたサザン・ロカビリー・ナンバー(音はこちらで)。エルヴィスもカバーしていることで有名な曲です。ウィリー・ハイタワーさんはこれを見事に最強サザン・ジャンプに改作して歌いきっています。

(どうもCDから起こしたYouTubeはEMIさんにブロックされてしまうようなので、音がちと悪いですが、シングル音源の映像で…)

フェイムのオーナーでプロデューサーでもあるリック・ホールさんは、この曲について「こいつのオリジナルは大ヒットしたが、制作があまりよくない。だからR&B版を作ってみることにした。基本的にはR&Bのレコードとして録るが、ポップにもいって、そっちでもある程度売れてくれることを期待している」と語っています。残念ながら思惑どおりのヒットとはならなかったようですが、楽曲の出来は申し分ないものになりました。

その声質から「サム・クック・フォロワー」として一括りにされることの多いウィリー・ハイタワーさん。確かに60年代の作品にはそれを思わせる楽曲も多く、本人も意識していたかもしれません。しかし70年代初頭のフェイムからマーキュリーに残した計5枚のシングルからは、「○○フォロワー」ではない、唯一無二の名ソウル・シンガーの歌声を聴くことができます。
 
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2013年04月03日

I'm Ready For Love / Martha & The Vandellas

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ふう。調子の上がらないドラゴンズも目くそ鼻くそで何とか勝ちました。春の嵐も吹き飛ばすような、思いっきりポップな曲で今宵は一献、といきますか。

マーサ&ザ・ヴァンデラスのみなさん。初めて意識して聴いたのは恐らくミック・ジャガーさんとデヴィッド・ボウイさんが「Dancing In The Street」をカバーしてからのこと。1985年のことです。そのカバー作の12インチにもしびれましたが、オリジナルを聴いて「かっこえー」と思ったことも思い出します。まだ、横文字の名前に慣れていない頃…。当時売出し中のルーサー・ヴァンドロスさんと混同して「ルーサー&ザ・ヴァンドロス」などとワケのわからないことをほざいていたような気がします。微笑ましき記憶(^^)

曲を書くのはホーランド=ドジャー=ホーランドのみなさん。正式にはエディ・ホーランドさん、ラモン・ドジャーさん、ブライアン・ホーランドさんの3人組。ポップ、という概念は実はこの3人が作り出したのです。言わずと知れたシュープリームスの楽曲のほとんどを書いたソング・ライト・チーム。60年代のビルボード・チャートをレノン&マッカートニーと渡り合いました。

シュープリームスより前にH=D=Hの楽曲でヒットをかっ飛ばしたのがマーサ・リーヴスさんとヴァンデラスのみなさん。「Heat Wave」はノーザン・ソウル界に燦然と輝く金字塔でした。にもかかわらずベリー・ゴーディ・ジュニア社長(モータウン社)のダイアナ・ロス偏愛路線は、マーサ・リーヴスさんからエースの座を剥奪したのです。声を一声聴けば実力はどちらにあるかわかるのにねぇ。ポップなメロディとアレンジに、ディープな歌声。ソウル・ミュージックの一つの理想形だったのです。

1966年。ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスがポップ・チャートを席巻していた頃。当時のNo.1ヒットの「恋はあせらず」と同じリズムで作られた「I'm Ready For Love」を。「恋はあせらず」に少し陰を振りかけた切ないメロディ。単なるアイドルじゃない、マーサ・リーヴスさんのディープな歌声を聴いて下さい。縦横無尽のいちいちかっこいいフェイクは、か細い声のあの人にはできないものです。極私的名盤。モータウンのガール・グループといえばあたしにゃヴァンデラスなのです。ハートいっぱいの愛ある画像とともにご覧ください。ませ。



posted by ac at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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