2012年11月30日

Autumn In New York / Sonny Stitt

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ふと気がつけば今日で11月もおしまい。ということは晩秋最後の晩。明日からは長くて暗くて辛くて厳しい冬が始まるのです。これから菜の花が咲くまで、ひたすら熱燗と湯豆腐で耐え忍びます。でもそれは結構理想的な生活かも、なんて思ったりもして。忘年会もいっぱいあるしね。

秋の最後にこんな曲。特に大好き!ではないんだけど、どうにも高打率でついつい買ってしまうのはソニー・スティットさんのアルバム。テナーでもアルトでもこの人のワン・ホーンにはほんとにハズレがありません。以前にもビリー・ホリディさんで紹介した「ニューヨークの秋」を。ぶっとい音のアルトで歌いまくる、切なくなっちゃう演奏です。

…と、音源をYouTubeにアップしたのですが、早々にUMGさんにブロックされてしまいました。残念。ついさっきあげたばっかりなのにチェック早いですね。というか度量が狭いよな、とも思うけど、ま、権利は権利です。聴いてみたい人はアルバム『PERSONAL APPEARANCE』(1957)買ってください。他にも名演満載、損はしないと思います。アマゾン川に現時点で2点在庫ありだそうです。
 
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2012年11月23日

Goodnight, It's Time To Go / Jack McDuff

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ビッグ・ジェイたまげたね。でも今日は別のおはなし…。

僕の出た大学は専門学校のような単科大学だったので、当時の1学年の人数は300人弱。大型私立大学とは比べ物にならない過疎の村のようなキャンパスでした。当然絶対数が少ないので趣味の同じ人間に出会える確率はぐっと少ないワケです。「つまんねぇ奴ばかりだな…」と自分の人見知りを他人のせいにして、ほとんど誰とも口をきかずにひと月くらいたった後、そのオルガン弾きの大男と知り合いました。どこでどうやって会ったのかはもう思い出せません。「ブルースとか、やらはるんですか?」と、部室の外で泥臭いフレーズを吹いていた時に声をかけられたのかもしれません。腐れ縁が始まりました。

メガネ、ヒゲ、下駄履き。当然先輩だと思っていましたが、あとできいたら向こうも同じことを思っていたのだとか。やわらかなイントネーションの京都弁で、背は高いのに腰は意外に低く、でも嫌味を言わせりゃ一級品(笑)。日本のブルースの本場からやって来たそのオルガン弾きは、当時黒人音楽の知識なら誰にも負けない、と自負していた僕の鼻っ柱を見事に叩き折ってくれました。ブルース、ソウル・ジャズ、ディープ・ソウル、授業なんかほとんど出もせずに、タバコの煙でもうもうとした汚ったねぇ部室で、古い黒人音楽の話ばかり、飽きもせずに熱く語り合ったものです。

一緒にやったバンドはもう数え切れません。モータウンからなんちゃってカントリー・ブルース弾き語りデュオまで(!)。当時は僕も彼も決してテクニシャンでなく気持ちで演るタイプ(笑)。そういうところも似ていたのかもしれません。金はなく時間だけはいくらでもある学生時代(練習だのバイトだのすりゃいいのにね…)、授業にも出ず家にも帰らず支離滅裂な生活をしておりましたが、部屋に泊めてもらったり、パチスロ教えてもらったり(プロでした)、呑めない酒をつき合わせたり(今では僕より呑めるかもしれませんが…)、随分世話になりました。借金もいっぱいしたよ。全部返したかな…。

ソウル・ジャズはもともと好きでしたが、どっぷりとはまったのはオルガン弾きだった彼のせいかもしれません。テナー+オルガン=コテコテ。お互いジミー・スミスみたいな上手いオルガンよりも、よりくっさいやつが好き。行き着いた先はもちろんブラザー・ジャック・マクダフさんでした。1961年の同名アルバムから臭い立つような「Goodnight, It's Time To Go」を。


彼はその後、きちんと練習してきちんとジャズを演奏するようになり、相変わらずホンカー一辺倒の僕とは一緒に演る機会がだんだん減っていきました。お互い本音を言いあえる仲(というかついつい言っちゃう)、ぶつかることもすれ違うこともありましたが、今でも根っこは一緒だと思っています。そして彼と出会わなければ僕は岡山のあの人たちとも、知り合うこともなかったでしょう。音楽とお酒は人と人とをつないでくれるのです。

本日(23日)、彼の結婚式が行われたそうです。長い独身生活でしたが、40代も半ばにしてようやく人生の伴侶を見つけたのです。本当にめでたい、嬉しいことです。残念ながらつまらないボタンのかけ違いがあり、直接祝福には行けませんでしたが、独り曇った夜空を見上げ、東北の地酒で祝杯をあげました。おめでとう。よかったよ。

「Goodnight, It's Time To Go」。もう眠くなっちゃった。明日も早いし、そろそろしょんべんして寝るよ。
 
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2012年11月19日

She's Gone Again / Charles Brown

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なんてかっこいいジャケットなんだろう、と惚れぼれしちまうのは西海岸の伊達男、チャールズ・ブラウンさん。この凛々しい姿はなんと76歳の時のもの。枯れた味わいのかっこいい爺さんになっていましたが、1998年のこのアルバム『SO GOES LOVE』が生前ラストの作品となりました。1940年代のスリー・ブレイザーズでのデビューから半世紀以上、自らのスタイルを守り切った偉大なるシンガー/ピアニストです。

週末に、Hata_Boneさんと2人で、内田百間先生(ケンの字はホントは門構えに月ね)の生まれ故郷である岡山まで、阿房列車を出してきたのです。2月に亡くなったギタリスト氏の仏前へのお焼香と、身体を悪くし故郷に帰っているドラマー氏のお見舞いのため。用事があるのは本来阿房列車の精神に反しますが、先生の故郷に免じて勝手に許してもらうことにします。その2人、今まで一緒に演った中でも最高のブルース・ギタリストで、最高のファンキー・ドラマーでした。死んでしまったものは残念ながら元には戻りませんが(合掌…)、ドラマー氏は思っていたよりも元気そうになっていて一安心。今はドラムは叩いていないものの、かっこいい爺さんになっておりました。お互いそんな歳になったんだなぁとしみじみ思い、一晩のみの禁酒解除をしてもらい再会の宴。素敵な岡山の夜でした。ギタリスト氏の弟さん(こちらもスーパー・ギタリスト)には、車で百間先生の生家跡を探してもらったり、渋いブルース・バーに案内してもらったり、何から何までお世話になりました。この場を借りて御礼。音楽とお酒は人と人とを繋いでくれます。

「チャールズ・ブラウン・マナー」という言葉があります。甘め、もしくはちょい暗めのゆったりとしたブルースやバラッドのピアノ弾き語り。偉大なるサム・クックさんレイ・チャールズさんにも多大なる影響を与えたのです。40年代〜50年代初頭に大当たりしたこのスタイル、当然のことながら、ロックン・ロールの台頭などによりあっという間に廃れてしまいます。チャールズ・ブラウンさんにとっては長く不遇の時代が続いたと思いますが、彼は決してスタイルを変えませんでした。そして、風雪を耐え、錆もまた味に。見事に復活した90年代、晩年こそが彼の最盛期だったと僕は思います。最後の最後まで変わらなかった真のスタイリストでした。同じくスタイリストであった岡山のドラマー氏とも、死ぬまでに一度、一緒に演りたいのです。


10年ほどの行方不明期間を経て突然僕らの前に帰ってきた元あばずれ(褒め言葉だぜ)が、また音信不通になっています。She's Gone Again? 無事ならいいけど… 心配してるんだ。
 
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2012年11月12日

No Room In The Hotel / The Chosen Gospel Singers

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今年は楽しいことはみんな終わっちまいました…、などと先週書いたばかりのような気がしますが、一昨日は吾妻光良トリオ+1@三鷹バイユーゲイト、昨日は脱原発抗議行動サボって武蔵野はらっぱ祭り@都立武蔵野公園くじら山、と近場の楽しきイベントに連日参加。当然のことながら莫迦みたいに呑み続けているわけです。

そんな汚れつちまつた我が心、清酒で、じゃない、敬虔なるヴィンテージ・ゴスペル・ミュージックで少しでも清めようと、本日はこんな曲で一曲一献。

「Stay With Me Jesus」の名唱で名高い(名高くねぇか…)チョーズン・ゴスペル・シンガーズのみなさん。その昔、ゴスペル・クァルテットのなんたるかを我が国じゃ誰も知らなかった頃に出されたオムニバスLP『AIN'T THAT GOOD NEWS』に収められたこのメガトン・ナンバーを聴いて、日本にゴスペル・ファンが大勢誕生したのです(以上受け売り)。決して「名門グループ」と呼べるような輝かしいキャリアは持っていませんが、日本のヴィンテージ・ゴスペルのファンにとっては忘れられない存在の、間違いなく実力あるグループです。

その「Stay With Me Jeses」のリードをとっていたロバート・クルッチャーさんのガサガサしたハードなシャウトには本当に狂っちゃうんだけど(オヤジですから)、そのクルッチャーさん加入前、ハード・シャウティングこそないものの、「男の声の魅力」にのた打ち回るような濃ゆ〜いナンバーがこの曲「No Room In The Hotel」なのです。1920年代に書かれた人種差別を歌った歌。チョーズンのみなさんの録音は1954年です。コクの深い第1リードはどっかで聴いた声。調べてみたら、あっそっかぁ…のルー・ロウルズさん(多分)。なんだかいつも肩の力が抜けちゃってるような気がするルー・ロウルズさんですが、若い頃はこんなに熱唱。そして若いのにもかかわらずなんて深い声。さらにこの曲を名演に持ち上げているのは、ちょっとだけ登場する誰だかわからない第2リード。このダブル・バリトンを聴いて心に高揚感が生まれない方とは僕は友達になれない気がします。


トップに貼ったジャケットは1991年にP-Vineから出されたCD『THE COMPLETE SPECIALTY SESSIONS』。解説文を書いているのはこのところすっかりお世話になっているいづみやの佐々木健一さんでした。本日はヴィンテージ・ゴスペルと宮城から送ってもらった地酒の燗で心を洗おうかと。というところで、んでまず。

posted by ac at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | gospel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月06日

Pegadas / Dona Zica

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先日の文化の日、われわれのライブにお越しいただいた皆様には心より御礼申し上げます。楽しい一夜でしたが、あっという間に終わってしまいました。今年最後のライブも終わり、プロ野球も終了、楽しいことはもう何もないような気がする秋の夜長です。これから春まで、長く暗い夜を一晩一晩、熱燗と湯豆腐でやり過ごしていくしかありません。

凍える夜に熱燗つけながら聴きたくなったのがこの曲「Pegadas」。足跡? ずっと前にある女の子から音源データだけもらって以来、喉に刺さった魚の小骨のように、ずっと気になっている曲です。何かの儀式のための音楽のような呪術的なホーンのイントロ。切なさあふれる印象的なメロディ。耳に残るフルートの音色。魅力的な声の女性ヴォーカル。中毒性の高い曲です。どうか何度か聴いてみてください。きっとあなたも憑りつかれます。演奏しているのはブラジルはサンパウロの正体不明のグループ、ドナジッカ。ググってみても日本語の情報はほとんど得られません。


あぁいい曲だなぁ。と、燗酒すすりながらしみじみ思う。貴重な(?)ライブ映像はこちらで

posted by ac at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | brasil | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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