2011年10月31日

Come Get To This (Stepping Out Tonight) / L.J. Reynolds

get to this l. j. reynolds.jpg

もうね、メロメロなのです。なにが?って、この(↑)ニカッと笑った59歳の素敵なおやぢさんの歌声。ヤられてしまってもう完全にヘヴィロテなのです。L.J.レイノルズさんが今年発表した新作『GET TO THIS』。いまどきこんな素晴らしいもんに出会えるとは思っておりませんでした。

70年代に全盛を極めた男声ソウル・グループ。大体決まって強力バリトンと超音波ファルセットの2枚看板がいました。その並み居るバリトン・シンガーの中でも群を抜いた素晴らしい喉の持ち主が、デルズのマーヴィン・ジュニアさんに、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツから飛び出したテディ・ペンダーグラスさん。それにドラマティックスのL.J.レイノルズさん。個人的には「世界三大バリトン」と呼びたい。もう、とにかく声がね、太さ、硬さ、黒さ…ともに申し分ないのです。

しかしならが、90年代に再びブームになった男声R&Bグループはほとんどテナーとファルセットばかり。以来バリトン・シンガーは絶滅危惧種となりました。誰とは言わないけど、男のクセにぴーひゃらぴーひゃら高けぇ声で歌うんじゃねぇやっ!と個人的には思いますが、何なんですか、時代の流れですかねぃ。男も毛ぇ抜いたりしちまうような時代ですからね、汗臭い、男臭いのは流行らない、ということですか…。

テディペンは死んじまったし、デルズもジョニー・カーターさんの没後ほぼ活動停止状態。寂しいねぇ、などと渋茶をすする日々を送っておりましたら、この男がバック・サウンドもゴージャスに見事に復活してくれました。アルバム冒頭はマーヴィン・ゲイさんの「Come Get To This」だ。これを流行りの(よくわかんないけど…)ステッパー仕立てにしちゃったりして、喉の方は全くの衰え知らずの59歳、相変わらず吼えております。小柳ルミ子さんと同い年。たまんないね。


最近のこのあたりのアーティストにしちゃあ、ちゃんとお金のかかったPV。このL.J.のおっさん顔、奥さん、どうですか(笑)。途中ちょっと出てくるL.J.4人のコーラス隊がまた可愛いのね。踊りまくる黒人中年男女たち。ステップ振り付け動画(?)もあります。さらにメイキングみたいな動画もあって、これがまた歓声とか飛び交っててまた楽しそう。

マーヴィン・ゲイさんのオリジナルはこちらです
 
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2011年10月22日

Representing Memphis / Booker T. Jones

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「住めば都」などと言いますが、自分の住んでる街がほんとに好きかなぁ、とふと思うのです。好きだったんだ昔は。野川で子どもとザリガニ捕ったり、肉屋のおやじさんと野球の話をしたり、「俺のベンチ」で青空ビールしたり。「いかり亭」でせんべろだったりもしました。でもイトーヨーカドーなるものができちゃってからは、どうにも「マイ・ホーム・タウン」という気がしないのです。数年前の再開発。明らかに必要以上にでかいロータリーの前のビルにはサイゼリヤと大戸屋が入ってる。どっかでみた近郊都市の絵。他人の街の顔なのです。

それでもやっぱりピンポイントでは心の安らぐ場所があります。俺のベンチは健在だし、「今晩のんで明日は仕事」の大黒屋さんはマンションの1階に入っても内装は昔のまま。ここで呑む熱燗はほんとに旨いんだ、としみじみ思う。よく探してみれば他にもきっとそんなとこあるはずなんだけどね、いつも同じとこに行っちゃう。

ブッカー・T.ジョーンズさんが今年出したアルバム『THE ROAD FROM MEMPHIS』から「Representing Memphis」を。たまらなくメロウな哀愁メロディですが、歌ってる内容は「サウスサイドが大好き」「ハーレムハウスがお気に入り」と、地元愛溢れるメンフィス賛歌。歌詞を書いたのはメンフィス出身のブッカー・Tの娘さん、リヴ・ジョーンズさんだとか。そして歌っているのはソウル界の現役肝っ玉母さんシャロン・ジョーンズさんに、この人はどういう人か全く知らないけどマット・バーニンガーさんとかいう人。

「メンフィス・サウンド」といえばハイ・サウンドと双璧をなすスタックス・サウンド。そのハウス・バンドがブッカー・T&ザ・MG'sの皆さんであることは言うまでもありませんね。故アル・ジャクソン・Jrさんのドラムにスティーヴ・クロッパーさんのギター、ドナルド・ダック・ダンさんのベースにブッカー・Tさんのオルガンというお馴染みのメンバーで、オーティスやらサム&デイヴやらの名録音の数々を支えました。インストでも「Green Onions」のようなヒットをかっ飛ばしています。1960年代の話。で、2011年のこのアルバム。そのMG'sを現代に甦らせようとしたか、生音美しき仕上がりっぷりです。バックを務めるのは、近頃生音といえばこの人達!のザ・ルーツの面々。クエストラブのスネアのテンションがちょい高すぎるような気もしますが、オルガンの音色も冴え渡る美しき録音になりました。歌入り4曲、インスト8曲のいい塩梅です。そういえばスティーヴ・クロッパーさんも今年アルバムを出しています。未聴なれども評判高し。聴かなくちゃ。


あぁ、いい曲。麗しきメンフィス愛の歌を聴きながら、わが街にふらりと呑みに出ようかなぁ…などと思う秋の夜なのです。取り壊されたカメラ屋の親父さん、元気かな。
 

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2011年10月17日

There He Is / The Glories

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我が中日ドラゴンズが優勝目前でもたもたとしているうち、いつの間にやら10月も後半戦、やきもきしながらあたしはまたひとつ歳をとりました。まぁめでたい。のかな。

いつもの年なら開幕に向けて徐々に盛り上がっていくはずの3月にあんなことがあった今年、開幕日めぐるごたごたが嫌になったりもして、春はペナント・レースに完全に乗り遅れました。「もう始まってんだよね」「そみたいよ」「首位どこ」「ヤクルトだって」「あっそう」。こんなことは中学生のころにプロ野球の洗礼を受けて以来、一度もなかったわけです。

しかし、いつもだったら秋風吹き始める9月になって、あれよあれよの快進撃。一時は10ゲームも離されていたスワローズさんを「一人旅」から「優勝争い」に引きずり込みました。こうなると現金なもんで必然的に僕の帰宅時間は早くなり、酒量は増えてしまうわけです。でもって、そこへ来ての監督の今季限りの退任発表。事実上の解任です。長いドラゴンズの歴史でも未だかつて経験のないペナント連覇ですよ、社長さん。それが現実味を帯びてきた矢先の発表。もし優勝しちゃったら解任できなくなっちゃうから、もつれる前に発表しちゃえ、というようなタイミングでした。8年間のうちペナント3度(もうすぐ4度目)日本一1度、Bクラスは1度もなし、CSには毎回出場の大監督ですよ。どうしてフロントはそーまで嫌うかねぇ。「ファン・サービスをしないので観客動員が下がった」なんつってっけど、それは営業努力が足りないだけでしょ。勝利こそが最大のファン・サービスですよ。Bクラスになったらあの淡白なナゴヤ人が球場なんかくるかってぇの。

ついつい熱くなりました。全然脈絡ないけどグローリーズのみなさんで「There He Is」を。


グローリーズは1966年(?)にニューヨークで結成されたグループ。60年代女の子3人組といえば、当然目指すはドリーム・ガールズ、じゃないシュープリームス、ということで、そんなサウンドの曲もありますが、リードの喉がそんな器に納まるものではありませんでした。そのディープすぎる歌いっぷりが目論むサウンドと合わなかったか、残念ながらシングル8枚(ったら結構な数ですけどね)でアルバム出すことなく解散。でも、2005年に日本で出た「グローリアス・ソウル・ジェムス・シリーズ」の1枚『SPECIAL SINGLES FOR THE GLORIES』として見事CD化されました。この時、ちょっと油断してたら限定生産であっという間に売り切れ、買い損ねた愚かな僕は、高騰していく中古盤を指をくわえて見ていましたが、2008年には再プレス。まともに買えるようになりました。

で、ご紹介が遅れましたが、そのディープなリード・ヴォーカルがフランキー・ギアリングさん。ジャケット右端のお姐さんね。このグローリーズの解散後、「より自分の喉を活かせるところを…」と思ったかどうかは知りませんが、辿り着いたのはメンフィスはハイ・レコード。同じ3人娘ながらよりディープな「クワイエット・エレガンス」を結成し、70年代に名作をいくつか残します。まだソウル歴の浅かった僕は、これも当時突然CD化されたこの無名グループの冒頭の一曲「After You」にぶっ飛ばされ「よし、この道を行こう!」と決意した(ような気がする)のを思い出します。


今日はせっかくのお休みなのに野球がありません。胴上げは明日の横浜か…。ちょっと足踏みしたけど、勝利こそが最大のファン・サービス。勘違いしている間抜けなフロントに悲願のペナント連覇&日本一を叩きつけ、オレ流野球の集大成を!

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2011年10月08日

This Bitter Earth / Irma Thomas

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西荻窪駅周辺に再開発の計画があるそうです。杉並区長が公約しているのだとか。JR東日本都市開発による阿佐ヶ谷ゴールド街の老舗の追い出しはほぼ完了。そして東中野駅ビルはアトレになるんだとか。さらには荻窪に西荻窪も…。僕にはJRが杉並区をそそのかして一儲けたくらんでるようにしか見えません。このままでは中央線沿線の極めて個性豊かな街並みが、アトレやルミネのみんなおんなじ顔になってしまう。街というのは住民やそこを利用する市民のもの。単なる土地建物ではなく、ひとつの文化でしょ。一営利企業の都合によって変わってしまうべきものではありません。

なんて大きなことを言ってみたりもしましたが、僕が本当に言いたいのは酒場の話。路地裏の赤提灯が追い出されてビルが建ち、そこにチェーン居酒屋が入るなんてこと、想像するだけで許せないのです。

12月には来日するアーマ・トーマスさんの実質的最新作、2008年の『SIMPLY GRAND』から「This Bitter Earth」を。一曲ごと、様々な名人たちのピアノをバックにしっとりと歌いこまれたこのアルバム、この曲でピアノを弾くのはエリス・マルサリスさん。ウィントンの父ちゃんね。そしてこの曲「This Bitter Earth」。元はといえばダイナ・ワシントンさんが1960年にヒットさせたナンバー。アーマさんのこのバージョン、しっとりと落ち着いた曲調ながら、静かに胸を揺さぶります。
 


この苦々しい地球。ソウルが少しばかり不足してます。
 
posted by ac at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | New Orleans | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月04日

Throw Away Me / Queen Emily

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前回のライブの時だったかなぁ、四谷三丁目Blue Heatで兵頭さんに聴かせてもらい、一発で気に入ったこのアルバム。速攻でアマゾンで買ったけど、悪い癖でiTunesに放り込んだっきりすっかり忘れておりました。冬眠前の栗鼠です。先日iPodが掘り出してきてくれたので、改めてじっくりと聴き直したらこれがまぁ名盤なのですね。秋の夜風にちょっと身震いしたりしながら、熱燗のアテに聴きたいサザン・ソウルなのです。

昨年(2010年)録音のこのアルバム。信頼と伝統のマラコ・ブランドです。バックを務めるのはベースにデイヴィッド・フッドさん、ギターにジミー・ジョンソンさんにレジー・ヤングさん、と、黄金期ディープ・ソウル・サウンドを支えたいぶし銀の職人さんたち。プロデュースはマラコのオーナー、トミー・カウチさんにフレデリック・ナイトさん。この鉄壁の布陣に、肝心のヴォーカルがダメなら「親亀こけたら皆こけた」となるところですが、受けて立つのはテキサス出身の40代新人女性シンガー、クイーン・エミリーさん。デビュー・アルバムながら貫禄の歌いっぷりです。

クイーン・エミリー・デイヴィッドさんは2008年、40歳にしてTVのオーディション番組「America's Got Talent」で5位に入賞し、夢を掴んだ苦労人。シングル・マザーだそうです。その番組はいかにもアメリカっぽい大げさなショウで少々鼻つまみモンですが、出てきたその才能はホンモノみたい。オーディションでの熱いパフォーマンスから女王アレサになぞらえられることも多い彼女ですが、スタジオ録音じっくりと聴いてみると、本来の持ち味は深くしっとりと歌う同じくマラコのドロシー・ムーアさんあたりに通じるようです。聴けば聴くほど味わいが増す深い歌声。

さすがに被災前のマラコ肝入り。楽曲も粒ぞろいですが、枯れたミディアム・ナンバーの「Throw Away Me」を。ネットなどで見ると「Throw Me Away」となっているのも多いけど、CDジャケットに印刷されているとおりのタイトルで。ジョージ・ジャクソンさんのペンによる、もういかにもな名曲なのです。YouTubeでは下の(↓)尻切れ動画しか見つからなかったけど、アルバムではホーンに女声コーラスもかぶさってさらに絶品な仕上がり具合です。


その出自から話題性先行のイメージですが、ベテラン・シンガーなみの渋いアルバムに仕上げてくれました(ま、40代ですからね…)。セールスがどうなっているかはわかりませんが、単発で終わることなく末長い活躍を期待!
 
 
posted by ac at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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