2011年05月30日

I'm Gonna Dig Myself A Hole / Arthur "Big Boy" Crudup

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かのエルヴィス・プレスリーのデビュー作である「That's All Right (Mama)」のオリジネイターとして知られるアーサー・“ビッグ・ボーイ”・クルーダップさん。ミシシッピ出身の泥臭いフィーリングを、軽快なロッキン・ビートに乗っけて歌う独特のスタイルを持つブルーズ・マンです。でも「That's All Right」の他にも「So Glad You're Mine」「My Baby Left Me」などもエルヴィスがカバーしちゃってるため、何かとエルヴィス絡みで語られる…、というか「エルヴィスに影響を与えた人」だけで済まされちゃっているような気がします。実は僕もそんな印象だけで、以前はなんだか敬遠してました。でもふとiPodが見つけてきてくれた「I'm Gonna Dig Myself A Hole」を聴いて再評価。

1905年ミシシッピ州フォレスト出身。独特の張りのある甲高い歌声は教会の聖歌隊で培われたそうです。でもギターを手にしたのは30代になってから。三十の手習い。どうりでお世辞にも「上手い」といえるプレイではありませんが、その荒っぽい弾きっぷりは何とも味わいがあります(便利な言葉だね)。

南部での農作業や木材伐採や工夫など、ハードな肉体労働で12人もの子供を何とか養う生活に嫌気がさしたか、1939年に一念発起、ギター抱えて憧れのシカゴに出てはみたものの、食うや食わずの路上演奏の日々。「やっぱミシシッピに帰ろかなぁ」と思いつつ路地裏で歌っていたところをたまたま大物プロデューサーのレスター・メルローズ氏に「パーティーで演奏してくれないか」と声をかけられ、故郷に帰る汽車賃の足しに…と歌ったのがデビューにつながったとか。当初の自身の弾くギター1本での歌ではかなりデルタ臭いものも演っていましたが(これもいい!)、リズム隊が付くようになってからは、独特のいなたいスウィング感に溢れる楽曲を展開。これにエルヴィス君もしびれちまったようです。1951年、朝鮮戦争のさなかに歌われた厭戦曲「I'm Gonna Dig Myself A Hole」を。いかしてます。


レスター・メルローズに救い出されたクルーダップさんでしたが、実はしっかり搾取もされていました。エルヴィスのレコードの印税は彼の手には渡らなかったようです。50年代後半より半引退状態。60年代後半のブルース・リヴァイバルで再発見されるも大きな成功を掴むことなく、1974年には卒中により貧困のままに亡くなりました。エルヴィスは香典包んだのかな?


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2011年05月23日

Separation Line / Laura Lee

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ピーター・ギュラルニックさんのペンよる『Sweet Soul Music: Rhythm and Blues and the Southern Dream of Freedom』。歌っていたのは黒人シンガーですが、プロデューサーやバック・ミュージシャンには多くの白人を含み、当時まだ高かった人種の垣根を越えて作られた1960年代の南部ソウルの舞台裏を、丹念にリサーチして書かれた名著です。などと偉そうに書いてみましたが、待望の和訳が出たときこそ小躍りして喜んだものの、堂々の467頁、おいしいとこだけつまみ読みして実は未だに完読しておりません。ソウル・ファン失格。生まれてスミマセン。いや、電車で読むには重たすぎるし、家だと毎晩呑んじゃうし、って一応言い訳してみたりして。そんなに呑まなきゃいいのにね。

上掲のジャケットは『SWEET SOUL MUSIC 〜 Voices From The Shadows』。同書籍にちなんでピーター・ギュラルニックさんが選曲したアルバム。15曲のみの収録とちょっと中途半端な感じもしますが、有名・無名アーティストのそこそこ珍しい音源含む良質コンピでした。これに収められていたローラ・リーさんの「Separation Line」にやられちまったのはかれこれ20年ちかく前。でもいまだにしみじみ「いい曲だなぁ」と思う(進歩がないだけかしらん…)、大人への境界線を越える少女を歌う、甘酸っぱい名曲なのであります。


チェスで売れない名曲群を残した後、デトロイトのホットワックスでの成功を掴む前、1970年に立ち寄ったアトランティック傘下のコティリオンに残したシングル・オンリー。マイアミ録音だそうですが重厚なバックに応えるディープな歌いっぷりです。華奢な身体でドスの効いた声。山椒は小粒でぴりりと辛いのです。

追記:せっかく皆さんに聴いていただこうとわざわざYouTube動画を自分で作ったんだけどWMGさんにダメ出しされました。こんなマイナーな曲なのに結構キビシイのね。とほほ…。しょうがないので、いずれ劣らぬジョニー・テイラーさんの名唱でどうぞ!(悔しいなぁ…)



posted by ac at 17:40| Comment(2) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月02日

No Happy Holidays / Mary J. Blige

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世間はゴールデンな週間だそうで、10連休!などとおふざけになっている方もいらっしゃるようですが(おほほ…)、とてもそれどころじゃない方々も多いかと思います。僕はといえばほぼ連日出勤で、いつものように、いや、いつも以上のハード・デイズ・ナイト。こんな駄文を書いてる場合じゃないんだけど、明日のために一献しつつ、ちと悔しいのでこんな曲。

「No Happy Holidays」。メアリー・J・ブライジさんの4作目、1999年の名盤『MARY』からの一曲です。いまどきのR&Bはほとんど買わなくなっちゃった僕ですが、この人だけは新譜出るたび買っちゃう現代のソウル・シスター#1。でもいまだに一番よく聴くのはこのアルバムです。

メアリー姐さんの魅力はなんと言ってもそのストレートな歌いっぷり。顔の傷まであらわにした上掲のジャケット同様、悲しみも怒りもドロドロしたものもすべてそのまま剥き出しに歌に表しちゃいます。「上手く歌おう」なんて考えてない(ように僕には聴こえる)気風のいい歌いっぷり。この「No Happy Holidays」は「祝日は家族のための日ね。あなたと過ごせない休日なんてくそくらえだわ。」(意訳)と歌う切なくも痛いバラッド・ナンバー。さらに熱い歌いっぷりのライブ・バージョンでどうぞ…。


ちょっとバック・コーラスのバランスが悪いね。スタジオ盤音源はこちらで。ではみなさま良い休日を!

posted by ac at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | R&B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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