2010年11月27日

I Got Rhythm / Arnett Cobb

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秋というのは春や夏や冬と違ってひたすら深まっていきます。今日は身近なところ、殿ヶ谷戸庭園で紅葉狩り。きれいでした。周りを見回せば高齢者率極めて高し。居酒屋で独り呑んだり、低い山歩いたり、爺さんみたいなことばっかりして、僕が実際じじいになったらいったい何をすりゃいいんだろう、とふと思う。

「I Got Rhythm」。1930年にガーシュイン兄弟がミュージカル『ガール・クレイジー』のために書いた曲です。単純なメロディで単純な構成の曲だけど、結構人気のあるスタンダード。テディ・バンさんの職人ギターとレオ・ワトソンさんの高速スキャットを擁したスピリッツ・オブ・リズムの皆さんをはじめ、ジャンプ/ジャイヴ系の方々も好んで取り上げているナンバーで、検索してみたら僕のiTunesには20曲近くのいろいろなヴァージョンが入っていました。

上掲のジャケットは、以前にも何度も紹介している僕の最も敬愛するテナー吹き、アーネット・コブさんの1980年録音『FUNKY BUTT』。B面の一発目で威勢よく演奏されるのがこの「I Got Rhythm」です。闘病生活による長いブランクから復帰2作目のアルバムですが、テキサス・テナーの面目躍如の豪快な吹きっぷり。ヴァージョンは違いますが下の映像の86年のセッションでもその豪放磊落な吹きっぱなしテナーが聴けます。足も腰もボロボロだけど、椅子に座らず松葉杖で吹く!というのがいいじゃないですか。


増え続けるYouTube映像ですが、アーネット・コブさんの映像はいまだに貴重。上掲の『FUNKY BUTT』も未CD化のままほったらかしだし、没後20年以上を過ぎ、人の記憶からもだんだんと消えてっちまうのかなぁ…と思うと何とも切ないです。この偉大なるテナー・サックス・プレイヤーにもう一度光を!
 
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2010年11月24日

Everything's Tuesday / Chairmen Of The Board

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何も知らずにへらへらと歳月を過ごしていましたが、先月にジェネラル・ジョンソンさん亡くなっていました。享年69。繊細な喉を持った愛すべき大男。太くて逞しい声のバリトン・シンガーが好みの僕ですが、この人の裏返りそうなテナーには、脳みその奥の方を刺激されるようで、どうにも捨てがたい魅力を感じていました。チェアメン・オブ・ザ・ボードを率いたある種の名シンガーであります。一度は生で聴きたいと思いつつ結局かなわず。まだまだ元気だと思っていたのに…。残念です。合掌。

アルバム聴くと、曲によって出来不出来の差があまりに大きいチェアメン。三振かホームラン、2割6分22本60打点みたいな。でも当たった時はどうにも忘れられない逆転満塁ホームランを打ってくれていました。そんな大当たりの1本が1970年の「Everything's Tuesday」。本日水曜日だけど。これがなかなかいいですハンソン。


いろんなことをやっていましたが、結局最期まで一番いいところの持ち味は変わらず。ちょっと短かすぎたけど、いい人生だったんじゃないかなあと思う。僕にとっては稀代の名シンガーです。

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2010年11月21日

By The Light Of The Silvery Moon / Fats Waller with The Deep River Boys

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満月になるのは明日なんだけど残念ながら天気予報は雨。…と、帰りの中央線からやけにキレイな月が見えたので、一駅手前で電車を降りて、雲の合間に怪しく輝くお月様を振り仰ぎながら「夜の散歩」をしてきました。缶チューハイでも買おうかなぁと思いつつ…。

そんな気分でこんな曲です。「By The Light Of The Silvery Moon」。もう100年以上も前になる1909年に書かれたオールド・ポップ・チューンを、トマス・ファッツ・ウォーラーさんの1942年の録音で。バックでとぼけたコーラスを聴かせてくれるのは深川少年隊ディープ・リヴァー・ボーイズの皆さんです。


その饒舌なストライド・ピアノは天才アート・テイタムさんが若き日に憧れたってんだから只者ではないのです。いやいやそんなエピソードを引っぱり出さずとも聴けばわかるはず。その演奏能力にしてもエンターテイメント性にしても後進に与えた影響力にしても、サッチモにひけをとらないはずなんだけどな。でもレコ屋に行ってみても並んでるアルバムの数は残念ながら雲泥の差。しかも数少ないCDみんなそろって「浮気はやめた」ばかりです。わずか39歳で亡くなるまでに録音した500曲にもおよぶ膨大な楽曲群はどこに行っちゃったんだろ、と思う秋の夜。なんなんだろ。ピアノはともかく、その歌いっぷりと表情(!)にエンターテイメント性がちょっと過ぎちゃったってことかしらん。前にも書いたけど、いいじゃん、楽しい方が…と思うけど。

寒空にも心温まる「By The Light Of The Silvery Moon」。月明かりの下でいちゃつく恋人たちの大甘なラブ・ソングですが、ファッツ・ウォーラーさんのダミ声で聴くのがいいのです。この曲聴きながらそろそろベランダで月下独酌!と思ったら、雲が厚くなっちゃったみたい。まぁしゃーないので今宵は裸電球の下で一献といきますか…。

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2010年11月17日

Wrap Your Troubles In Dreams / Bogalusa

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『TALKING ABOUT DIME』。このアルバムが出たのは2007年4月のことです。ボガルサなる人たちがどういう人かも何も知りませんでしたが、ヴィレッジ・バンガードで強力プッシュしていたこのアルバム、裏っ返して曲目見るとどれも好きな曲ばかり。「うちのバンドと守備範囲が近いなぁ…」と即買いました。聴いてみれば、安直カバーの僕らのバンドとは違い、確固たる個性を持った独自の音世界。よく練られたアレンジとオリジナルよりも濃いジャイヴ感覚に、少々嫉妬を覚えながらも惚れ込みました。近々ライブも聴きに行こうと思っていた矢先のその年の9月、ヴォーカル&ギターの藤岡テッシンさんが亡くなりました。自殺でした。デビュー・アルバムが発売されてわずか4ヶ月後のことです。

この「Wrap Your Troubles In Dream」は、ノベルティなジャイヴ曲がならぶそのデビュー・アルバムの最後にひっそりと収められていたナンバー。1931年に作られたポピュラー・ソングです。ビング・クロスビーフランク・シナトラジューン・クリスティなど、主に白人ジャズ歌手ですが、多くのシンガーに歌い継がれてきた美しいメロディを持つ名曲です。

憂鬱が君を 捕まえたなら 追い払うのさ ステキな夢で
雲の晴れるまで 君にできること 夢を見るのさ ステキな夢を
ふりだしに 戻される こともあるだろう だけど涙より 微笑を さあ顔上げて
雨の後には 虹を見るだろう 夢を見るのさ ステキな夢を

Myspaceミュージック で、 bogalusa に似ているアーティストをもっと探す


ほぼ原曲の意味どおりながら直訳でイメージを壊してしまうことなく、見事に日本語詞にしています。藤岡テッシンさんは長らく中央線沿線のストリートで演奏をしていたそうなので、僕も一度は通りかかったことがあったかもしれません。長い苦労の後ようやく出したCDでした。ルイ・ジョーダンスリム・ゲイラードキャブ・キャロウェイ。楽しい歌ばかり歌い続けていた彼を捕らえた憂鬱がどんなものであったのか、僕にはわかりません。夢では追い払えなかったのか。あるいはステキな夢を見すぎたのか。

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2010年11月13日

Landlord / Gladys Knight & The Pips

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大変遅ればせながら、千葉ロッテ・マリーンズのファンの皆様には日本一おめでとうございます。我が愛する中日ドラゴンズは、個人的にはMVPである若きホールド王浅尾拓也投手とともに壮絶に散りました。泣くな浅尾!来年があるさ…。そんな傷心の11月。我々のバンドの年内最後のライブも、楽しかったはらっぱ祭りもいっきに終わってしまい、心の中には秋風が吹き抜けているのです。長い長い冬も間もなく始まります。

そんな心に再び火を灯してくれるようなグラディス・ナイトさんの曲を一曲。ソウル界随一のおしどり夫婦にして名ソング・ライター・チームでもあるアシュフォード&シンプソンのお二人によるソング・ライト&プロデュースによる「Landlord」を。ヒット曲を多発しながらも賛否の分かれるブッダ・レコード時代を終え、コロンビアに移籍しての第一弾アルバム、1980年の『ABOUT LOVE』の冒頭を華々しく飾ったナンバーです。

モータウン時代とブッダ時代ばかりが取り沙汰されるグラディス・ナイト&ザ・ピップスの皆さんですが、ソウル暗黒時代である(と個人的には思っている)1980年代初頭のコロンビア期も、地味ながらも良質な作品をコンスタントに残しております。がーさす。長らくベスト盤でしか聴けませんでしたが、最近ようやくオリジナル・アルバムの形でCD化されました。何ともエレガントな曲調に乗り、いつもどおりの熱く切ない歌声を届けてくれるグラディス。大好きです。


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2010年11月07日

You Make Me Feel Good Inside / Aaron Hall

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昨日の四谷のライブに来ていただいた皆様には心より御礼申し上げます。演奏は相変わらずながらもおかげさまでとても楽しい夜でした。

重なるときには重なっちゃうもんで、自らのライブに加え、日本シリーズは佳境も佳境、日本一素晴らしい市民イベントであるはらっぱ祭りは土日開催、さらに福生ブルース・フェスティバル、近辺の大学では学園祭真っ盛りなどなどなど、どこ行くべきかわかんなくなっちゃいます。ま、いずれにしても呑んじゃうんですけど。いろいろ迷った挙句、今日もはらっぱ祭りで青空の下、おいしいお酒を呑んでまいりました。これから始まる日本シリーズ第7戦に向けてわずかな時間ながら休肝中、失礼ながら暇つぶしに書いております。

「歌バカ」といって思いつく名前はいろいろあると思いますが、この人が一番ぴったりくるような気がします。アーロン・ホールさん。昭和39年生まれニュー・ヨークはブロンクス出身。ガイのリード・ヴォーカルとしてニュー・ジャック・ブームを牽引していた時分はそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、最近はお名前もとんと聞かなくなりました。

この「You Make Me Feel Good Inside」は1998年のアルバム『INSIDE OF YOU』の冒頭を飾ったナンバー。ソロに転向して徐々にその人気にも陰りが見えていた時期、絶対に落とせないハズのアルバム冒頭1曲目に生バンドをつけてこんな愚直なまでの歌い倒しラブ・ソングを持ってきちゃうところが、歌バカの本領発揮なのです。案の定、チャート・アクションは芳しくなく、以来アーロン・ホールさんは過去の人になっていきました。でも売れる売れないとは関係なく、僕には最上級の名曲であります。ギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンからの影響モロ出しの熱い歌いっぷり。クワイアまがいの分厚いコーラスも全て多重録音で自ら歌っちゃう。もうね、歌いたくて歌いたくてしょうがない、歌う幸せ爆発のナンバーなのです。こういうの大好き。なぜかYouTube画像が貼り付けられないのでこちらから見てください。
 
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2010年11月03日

可愛い眼 / ヘレン隅田

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何だか変な方向に進みつつあるような気もするけど、このところ気になっちゃってる曲がコレ。ヘレン隅田こと隅田寿美子さんの昭和9(1934)年のナンバー「可愛い眼」です。前回エントリーの「Sweet Sue, Just You」のいろいろなバージョンを探しているうちに辿り着いた昭和初期のボードビリアン、岸井明さんの「スーちゃん」が聴きたくて買った上掲のアルバム『シング・シング・シング〜昭和のジャズ・ソング名唱選』に収められていて、やられちゃいました。

この2枚組CD、2001年にビクターから出されたもので、1枚目が昭和3年〜15年までの戦前編。で、さすがに戦争中の録音はなく、2枚目は戦後編。戦前の物好き日本人が録音したジャズの真似事はどんなモンかと聴いてみたらば、これがなかなかの充実ぶり。少々驚きました。太平洋戦争を生き延びたヴィンテージ録音です。この「可愛い眼」の原曲は1925年の「Yes Sir, That's My Baby」。「Sweet Sue」同様にいろいろな人に歌い継がれているある種のスタンダード・ナンバーです。ウォルター・ドナルドソンさんという人とガス・カーンさんという人が作ったそうですが、誰だか知りません。

ヘレン隅田さんはカリフォルニア州生まれの日系2世。昭和ひと桁のジャズ・ブーム(?)の際に「本格的ジャズ・フィーリングを…」と招聘されたようです。ピアノも弾くしタップも踏む多芸多才な少女。1917年生まれだから、この「可愛い眼」は16だか17歳の時の録音です。他の録音を聴いてみるとかなりレンジが広いヘレン隅田さんですが、この曲ではずい分ドスの効いた低いキーで「やんやん♪」などと歌っちゃっておじさんやられちゃいます。はじけてる日本語詞は佐伯孝夫という方。演奏は「井田一郎とそのジャズ・バンド」。イントロのアレンジなど、結構印象的です。


16曲ほど録音して昭和12年にはアメリカに帰ってしまったというヘレン隅田さん。ご存命なら93歳です。

さて日本シリーズは佳境&苦況。何だか落ち着かないけど、土曜日はうちのバンドのライブです。四谷三丁目にお集まりください。

posted by ac at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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