2010年04月29日

You Made Me What I Am / Erma Coffee

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どんなに優れたアーティストにも必ず駄作があります。「これは傑作だ!」と思うアルバムにも1曲2曲は「ちょっと勘弁…」という曲があるものです。ま、曲の良し悪しなんてのは絶対的な尺度はなくて結局は好き嫌いなんですが、僕は結構好き嫌いが激しいみたい。給食もいつも泣きながら食べさせられてましたしね(余談)。では完璧なアーティストであるためにはどうすればいいかといえば、これはもう素晴らしいシングルを1枚だけ残すこと、ということになります。しかもヒットしちゃいけません。ヒットしちゃったらレコード会社は許してくれませんからね。人間というのは柳の下に2匹目のドジョウを探しに行く生き物なのです。挙句はアルバム作らされて、数あわせでテキトーな曲を録音することになる、というのがソウル界ではおきまりのパターン。完璧であるためには、シングル1枚残しただけでしかもそれがいい曲なのに売れませんでした、というのがベストということになります。本末転倒だけど。

アーマ・コフィさん。僕はこの人の曲は2曲しか知りませんが、2曲とも素晴らしくいい出来です。フロリダ州はタンパ出身のレディ・ソウル。1973年にメンフィスはハイ・レコードに録音したのがこの「You Made Me What I Am」を含むシングルでした。A面はシル・ジョンソンさんの名バラッドのカヴァー「Any Way The Wind Blows」。そのシル・ジョンソンさんのバージョンも枯れた味わいが素晴らしいですが、同じバック・トラック(?)を使いながらも瑞々しさを感じさせるアーマ・コフィさんのバージョンもまた絶品です。で、B面のこの「You Made Me What I am」。シンガーでもある名ライター、フィリップ・ミッチェルさんのペンによる極上ミディアム・バラッドです。少女から大人へ、という青臭い歌詞もいいね。曲はこちらの御本人投稿(?)のmyspaceでどうぞ。誰も知らなかった御尊顔も拝めます。

とにかく2曲ともいい曲いい声いい歌いっぷり。いずれも僕のiPodトップレート入りの10割バッターなのです。どうしてあのウィリー・ミッチェルさんが2枚目のシングルを作らなかったのかなぁ、とも思いますが、凡打で打率を下げるよりもよかったかも…。と思って調べてみたら、地元のTam Townとかいうレーベルにもシングルもう1枚残してるみたい。もっともその出来の良さからかレーベルの人気からか、上記ソニー国内盤含め何度かリイシューされてるハイの2曲とは違って、ほとんど誰も聴いたことないだろうと思いますが。そういうものまで聴こうと思ったら、そりゃもう長い長い旅に出なけりゃなりませんからね、まぁとりあえずはCDで聴ける2曲で十分、ということにしときます。聴かないほうが幸せだったということもあるしね。
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2010年04月23日

Just As Sure / Sam Dees & Bettye Swann

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なんだかんだと歓送迎会などに呼ばれたりして、当たり障りのない会話をべらべらとしたりして、おとなしく大人らしく9時前に解散しちゃったりして、家に帰る前に地元の行きつけ居酒屋さんで独りしんみり呑みなおし。などという夜を2晩も過ごしました。なんだか心も寒い4月です。

♪トゥルルルーっと、そんな寒さを吹き飛ばすような気持ちのいいメロディを歌うのは、稀代の名ソング・ライター、サム・ディーズさんと、南部に咲いた可憐な歌姫、ベティ・スワンさん。声質的には美女と野獣。でもまたこれがいいのです。1975年のシングル・オンリー。数年前にCD-Rで出回ったサム・ディーズさんのベスト盤(?)『IN MY WORLD』で初めて聴きました。シングルのフリップ「Storybook Children」も名演らしいけどこちらは残念ながら未聴です。

ルイジアナ州はシュリブポート生まれのベティ・スワンさん。熱唱タイプがもてはやされるサザン・ソウル界にあって、熱く歌うよりも美しく歌うことを選んだある種の個性派。ちょいハスキーな吐息がたまらなく切ないのです。そして、アラバマ州はバーミングハムのサム・ディーズさん。シンガーとしては決して一流だとは思わないけど、ソング・ライターとしては超一流。ロゼッタ・ジョンソンさんに提供した楽曲群にノック・アウトされましたが、それ以外にもアレサグラディスにアトランティック・スターやホイットニーまで。ディープ・ソウルの枠には収まらない優れたメロディ・メイカーです。

いかにもサム・ディーズさんの書きそうな洗練されたメロディのこの曲「Just As Sure」。当然サムのペンによるものだと思っていたら、バーバラ・アクリンさんの作だとか。ミディアム・テンポの跳ねるようなビートに、ホーンもストリングスもたっぷりと加えたゴージャスなアレンジの至福のナンバー。赤が赤、青が青であるように、僕らは当然恋に落ちるのです。春風に吹かれながら聴きたいね。



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2010年04月12日

Here's That Rainy Day / Gene Ammons

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昨日は汗ばんじゃうような陽光の下、ほんとに久しぶりの家族で散歩の日曜日。永福町からのんびり北上して、阿佐ヶ谷に着いてみたら、パールセンター商店街ではたまたま『阿佐ヶ谷SWING WALK』なるイベントをやってました。全国のジャグ系アコースティック・バンドを集めた商店街主催とはとても思えないマニアックな催し。多数の洗濯板をコンビニ缶ビールで楽しみました。はじめて観るバンドばかりの中、はるばる大阪からやってきたBigood Bandってのがよかったなぁ…。スタンダードものの訳詞もキュートでした。

うってかわって突然寒くなっちゃった氷雨降る月曜日。「Here's That Rainy Day」です。シナトラも愛したこちらもスタンダードものですが、ジーン・アモンズさんの泥臭い演奏で。アルバム『SWINGIN' THE JUG』のボーナス・トラックで収められていた晩年の73年、ワッツ・ジャズ祭出演のライブ・バージョンです。演奏前の長いMC、麻薬でつぶれちまったと思われるチャック・ブラウンばりの低い声でもうやられちまいます。演奏が始まれば瑞々しいばかりのぶっといテナー。誰にも媚びてない男のバラッド。なのです。

また熱燗が恋しくなっちゃうような、寒の戻りの雨の月曜日。前途多難な1週間の楽しい始まりです。
posted by ac at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月07日

What Am I Going To Do / Maurice & Mac

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もうてんやわんやでした年度末年度始。でも誰かが洗濯物を干さなきゃならないわけです。何もできなかったこの3月、数々の非礼を多方面にお詫びしつつ、このブログも1ヶ月間のご無沙汰となってしまいました。プロ野球はとっくに開幕してるし、サクラもすでに散りつつあるんだなぁと、諸行無常の雨の水曜日。我が愛する中日ドラゴンズは知らないうちに6連勝単独首位、って…。観てない方がいいみたい。

そんなくそ忙しい中、寸暇を惜しんで聴いていたのは、原点回帰で学生時代から大好きだったこんな曲。

絶対量は少ないけども、残した作品の打率の高さからすればサム&デイヴをしのぐ世界最強タッグなモーリス&マックのお二人。シカゴのローカル・グループ、レイディアンツ出身の二人からなるソウル・デュオです。切れ味鋭い高音シャウトのMaurice McAllisterさんと粘り強くパワフルなMcLauren Greenさん。適度に個性が食い違ってる上に、それぞれピンでもいけそうな圧倒的な歌いっぷり。Pic & Billとならぶ理想的なソウル・デュオです。

白目が怖い上掲のジャケットは1984年にPヴァインから出されたグレイト・リイシュー。A面がシカゴ録音、B面がマッスル・ショールズ録音の当時のシングル盤を集録したLPです。さんざん中古屋歩き回って見つけた時の喜びは20年経ってもまだ忘れません。熱いバラッドも火花散るジャンプも素晴らしい、ディープ・ソウル最高峰の録音のひとつだと思いますが、いまだに正規にCD化されていないってのはいかがなもんでしょ…。

そんな名曲揃いの中から、今宵は何度聴いても背骨が震えるA面2曲目の「「What Am I Going To Do」を。3連ソウル・バラッドといえばマッスル・ショールズはフェイム・スタジオのオハコですが、この曲はシカゴ録音。硬質なバックがこれもまたいいのです。モーリスさんの「Baby!」のシャウトがたまらない一曲。



実は長い職業人生初の異動で「What Am I Going To Do」な日々。新鮮です…。
posted by ac at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | soul | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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