2008年05月25日

I Gotta Right To Sing The Blues / Earl Hines

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いやいや、カロヤン初賜杯おめでとうございます。大関を伏兵なんて言ったら失礼ですが、全く予想していなかった展開、楽しい夏場所でした。が、プロ野球セパ交流戦の方は相変わらず苦しんでます我が中日ドラゴンズ。少々ストレス、蒸し暑い。

そんなストレスをもっと大きな心で忘れようと、今日はアール“ファーザ”ハインズさんのソロ・ピアノ。ピアノには正直言って明るくないので、ピアニストのブラインドフォールド・テストかなんかやられちゃうと散々な成績になると思いますが、この人のピアノだったら大体わかる、と思う。「ジャズ・ピアノの父」と言われて、その後の多くのピアニストに少なからぬ影響を与えた、にしちゃあリズムも和音もとっても個性派。奏法解説できないけど。

歴史のある居酒屋さんなんかにいくと、独りカウンターでしゃんと背すじを伸ばしてお銚子に向き合ってる初老の紳士、なんてのを見かけたりしますよね。アール・ハインズさんのピアノには何かそういう年季の入った気合みたいなものを感じます。エレガントな酔っ払い。にこやかだし呂律も少々怪しいけども、目は据わってない笑ってない、みたいな。楽しいけれども真剣だ。そういう人に私もなりたい、と思う。けどダメですね僕は、どうしても意地汚く呑んじゃう。何の話だ?

1920年代にはサッチモのホット・ファイブで共演。その後自身のビッグ・バンドにはかのチャーリー・パーカーを擁し、ビ・バップの誕生にも一役買ったとか。しかしそんな巨匠に対して日本のレコード業界は随分ぞんざいな扱いしてるじゃねぇか、と思う。どのレコ屋に行ってもあったとして『Here Comes』くらいしか置いてないですからね。エルヴィン・ジョーンズにリチャード・デイヴィスとの、親子ほども歳も違えばスタイルも違うリズム隊をバックに迎えた他流試合。もちろんそこから名演も生まれるんだけどさ、それしかないってのはお父さんに対し失礼じゃないかって思うワケですよ。83年に亡くなるまで、半世紀を悠に越える膨大な素晴らしい録音があるのにさ。

すでに廃盤だと思うけど、ブラック・ライオンに1972年に残したソロ作品『TOUR DE FORCE』から「ブルースを歌おう」。はしごをした後の家路のようなミディアム・テンポの楽しい千鳥足リズム。気持ちよく真剣に歌ってます。ちっとも古臭くなんかない、聴いてるこちらも気持ちよく呑んじゃう一曲。

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2008年05月23日

Until You Come Back To Me (That's What I'm Gonna Do) / Aretha Franklin

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すっかり更新が滞ってしまいました。こう見えてもね、僕も結構忙しいのですよ。プロ野球はほぼ毎日やってるのでそのたびに祝杯だのヤケ酒だの呑まなきゃならないし、「大相撲 幕内の全取組」は毎日チェックしなきゃいけないし、Amazonから勝手に送られてくる本だのCDだの読んだり聴いたりしなきゃならないし、メダカの世話もしなきゃいけません。それから居酒屋さんもね、いつもいってるとこはパトロールしなきゃいけないし、たまには新規開拓も必要です。何かと忙しいのです風薫る5月。

さて久しぶりなのでとびきりの一曲を。アレサ・フランクリンさんで「Until You Come Back To Me」。1974年の『LET ME IN YOUR LIFE』からの名曲です。重箱の隅的な曲も多いこのブログですけどね、この曲は誰が聴いても名曲じゃないかしらん。いやほんといい曲です。

ソング・ライトはスティーヴィー・ワンダーさん。バーナード・パーディーさんのドラムにチャック・レイニーさんのベースにエレピを弾くのはダニー・ハサウェイさん。でもってプロデュースはアリフ・マーディンさんに、歌とピアノは女王様。このメンツで駄作を作ろうったって無理な話でございます。でもそれ以上の傑作となりました。スピナーズの「It's A Shame」(これもスティーヴィーだ!)と並んで70年代ソウルのいいとこをギュッと搾ったような濃厚かつ口当たりのいい一曲。

元々の排気量がハンパじゃないだけに、フルスロットルで歌われちゃうとすぐにおなかいっぱいになっちゃうアレ様ですが、いつになく湿度の低い歌い方。別れた恋人が帰ってくるのを待ち続けているちょっとセツナイ歌詞だけど、とっても気持ちよく聴ちゃう曲です。パーディーが「楽しくてたまらない」という顔でドラムを叩いているのが目に浮かぶ、今の季節にぴったりの一曲。青空ビールが呑みたくなっちゃうね、忙しいけど…。
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2008年05月06日

Love Is What I Find In You / Eddie Harris

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1960〜70年代にかけて、電化サックスやらレス・マッキャンとのコンビやらで黒人チャートを席巻したばりばり大衆路線なエディ・ハリスさん。この日本で人気がないのはわかる気がしますけどね、10数年前のソウル・ジャズ・ブームのころにもあんまり脚光を浴びなかったところがなんだかいい。真面目なんだかいい加減なんだかわからない、人を食った様な吹きっぷりのサックス吹きです。

何となく捕らえどころのないスタイルの上に、録音数はどっから手を着けていいかわからない位多数。国内盤は殆ど出ていないし、僕もなんだか昔は遠慮していましたが、数年前のある日に中古盤を数百円で買ったこのアルバムにやられちまいました。

いわゆるソウル・ジャズ/ホンカー系の力強いブロウは殆どなし。複雑なフレージングを駆使したようなモーダルなアドリブもなし。でも「凡庸さ」を感じさせない不思議な個性を持った人です。決して好きな音ではないんだけど、ファンクを演ってもブルース演ってもどこか哀しさを感じちゃう音色。

この「Love Is What I Find In You」は晩年にあたる1992年に何故かスイスのレーベルからリリースされたアルバム、『YEAH YOU RIGHT』に収められていたナンバー。なんかもうジャズでもフュージョンでもソウル・ジャズでもないオレ流音楽を作り上げちゃったような迷作アルバムからのこの曲、ビートルズの「Yesterday」をパクっちゃったようなメロディを、つっこみ気味の8ビートにのっけちゃったB級ファンク・ナンバーです。ご本人のこれまた哀愁を感じるしょぼいヴォーカルと、さしたる盛り上げも作らないながら妙に聴かせる、連続性のないフレーズの長尺ソロが癖になっちゃう一曲。キーボードもバックのホーン・セクション(トランペット含む)もご本人のプレイなんだとか。

何だか褒めてるんだかけなしてるんだかわかんないような文章になっちゃいましたが、とっても気持ちのいい曲です。言葉で説明するとこんなんなっちゃうんですけどね、すぅっと腑に落ちる飾らない大衆音楽。こういう人の失われつつある録音をしっかり聴いていきたいなぁ。
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2008年05月05日

Soul Tambourine / Bettye LaVette

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ブーツィーが今年のフジ・ロック・フェスティバルに来るという噂を聞いて「へぇ、今年もやるのねフジ・ロック、若いって羨ましいね…」などと全くの他人事で出演者リストなどながめていたら、思わぬ名前に遭遇して一瞬固まりました。ベティ・ラヴェットさん。60年代からいくつものレーベルを渡り歩いてきた不遇のソウル・シンガーです。それがよりによってフジ・ロックですか。ちょうど佐野勝明さんの『楽ソウル』に触発されてベティ嬢のヴィンテージ録音聴き直していたところだったので、なおさらびっくり。思いっきり場違いな感じもするけど、うぅ観てみたい。でももはや1日野外で音楽聞いてるような体力ないし(呑んじゃうからね)、ブーツィーとは別の日だったし他の出演者にはほとんど興味ないし…。単独公演東京で演ってくれないかしら。

といろいろ調べていたら昨年秋、朝霧ジャムとかいうイベントで既にひっそり来日していたらしい。なおかつ渋谷でもゲストで演ったとか。うーんダメじゃん僕。惜しいことしてました。

1962年に16歳でデビュー。デトロイト育ちなれどたどり着いたのは南部の地。ナッシュビルやマッスル・ショールズで優れたシングルを数多く残しながらもヒットには恵まれず、72年には初のアルバムがアトコにて企画・録音されたものの何故かおクラ入りになりました。ようやくアルバムをリリースしたのはデビュー20年後という苦労人です。とっくにデトロイトを去り西海岸に移っていたモータウンから出したその82年のアルバムも残念ながら鳴かず飛ばず、ほとんどシーンを去っていましたが、そのおクラ入り録音の発掘盤(上記アルバム『SOUVENIRS』)の再評価で21世紀に大復活。最近はなにかとお騒がせの(…って実はよく知らないけど)エピタフ/アンタイ・レーベルからロック寄りのアレンジによるアルバムを2枚立続けにリリースしています。このところのロック・フェス系の招聘もそのあたりからですね。

つぶれた喉から絞り出すようなソウルフルなしわがれ声。「Piece Of My Heart」なんかも歌ってるので、ベティ・ラヴェットさんを初めて聴いたとき(20年位前?)には恥ずかしながら「ジャニス・ジョプリンみたい」などと思ってしまいました。逆だって。いや、でもよく似た個性的な声、どんな曲でも自分色に染めちゃいます。

この「Soul Tambourine」は72年のお蔵入りになったアルバムに収められるはずだった曲。かろうじて「Your Turn To Cry」(これもいい曲!)とカップリングでシングルではリリースされました。バラッド・ナンバーではむき出しのソウルがときに痛々しいほどのベティ様ですが、この曲はそのタイトルどおりタンバリンをフィーチャーしたダンス・チューン。粘っこい歌が得意な人ではありますが、リズムものにおける歯切れのいいノリもまた素晴らしいです。アドリブの歌いまわしの符割が最高にファンキーな一曲。

ベティ嬢の公式ホームページがあったりしてまたびっくり。ツアースケジュール見てみたらぎっしりじゃないですか。今年で62歳。今が彼女のキャリアのピークを迎えてるようです。しかしやっぱり日本ではフジ・ロックの1日だけみたい。行くのか?俺。
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2008年05月02日

Black Nights / Lowell Fulson

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毎年何かと慌しいGWですが、今年はそれに輪をかけていろんな事件がおきてます。ふぅ。忙中閑ありの本日、久々にナイターがっつり観戦しようと思ったらGW変則日程でセ・リーグのゲームもお休みなのね。がっくしですが、我が愛する中日ドラゴンズは投手陣の好調で今のところがっちりと2位をキープ。しかし阪神さんは突っ走りすぎでしょ。明日からはその阪神戦ですからね、眠れる巨人は寝かしておいて、今年はマッチ・レースといきますか…。

さて久々にブルースを一曲。かのB.B.キングをして「眠れる巨人」と言わしめたのは、ローウェル・フルソンさん(1921-1999)。1966年の「Tramp」の大ヒットによりすっかりファンキー・ブルースの人だと思われちゃってますが(僕も思ってました)、歌とギターをじっくり聴けば王道ブルース・マンであることがわかります。「Tramp」はまぐれ当たりみたいなもんですね。その「Tramp」は直後にオーティス・レディング&カーラ・トーマスがカヴァーしてさらなるビッグ・ヒットになりました。このバージョンのアル・ジャクソンのドラムがまた滅茶苦茶カッコいいんだけど、それはまた別の機会に。

ローウェル・フルソンさんはギターが決して不味いワケじゃないけど、歌の魅力の人。その歌もギター同様決して器用でなく、ゴツゴツとした男臭い歌いっぷり。へたに上手く歌おうとせずに歌い放っちゃうところがいいんです。この「Black Nights」は1965年、「Tramp」のヒットの前年に録音されたミディアム・テンポの重厚なブルース。いつでも誰の後ろでも地道に素晴らしい仕事をしているマックスウェル・デイヴィスさんの分厚いバンド・サウンドをバックに、フルソンが無骨に歌いこむ味わい深い一曲。

収められたアルバムのタイトルは『SOUL』。上記ジャケットにでかでかと文字が描かれてますが、内容はしっかりとどブルースなところが素敵です。びっちり分けられたフルソンの髪型もね。
posted by ac at 20:54| Comment(2) | TrackBack(0) | blues | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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